田口ランディ – 根をもつこと、翼をもつこと

ランディさんのとくに原爆や放射線被害、水俣病、その他のなんていうんやろ、なにかの被害を受けた人へのレポートとかを中心にして描かれた短編というかエッセイ集。

原爆とか社会による受難だとか、戦争とか、個の力では避け様のなかったような大きな痛手。それらを受けた人たちの気持ち、とうていおなじように感じることはできないけれど、それをどう受け止めるのか、どうしたらいいのか。まったくわからないが、普段はそんなことは忘れて生きている普通の人たち。それでいいのか、どうしたらいいのか?よくわからない。ランディさんも同じ悩み。・・・・考えても感じられないから、やはりわからないけれど、理解することから始まるのかもしれない。

興味あることに引き込まれるようにその世界へ足が向く作者。その直感というか正直さにはほんと心がびくっとする。感じたとしても正直にコトバに表現することはとても心が痛いし、難しい。でもこのひとはそれに挑戦し続けている。それが文章から飛び出てくる。苦しい。

新潮社 2006

田口ランディ - 根をもつこと、翼をもつこと
田口ランディ – 根をもつこと、翼をもつこと

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