有吉佐和子 – 不信のとき

最近ドラマになってたようだけれど、この作品が新聞に連載された後にドラマ化したやつみたいなー。最近のじゃ、きっとこの作品の雰囲気でないもん、絶対。

昭和30年代から40年代ごろが舞台の愛憎劇。さる会社の男とその妻、銀座ホステスであるその愛人、そして男の呑み友達である初老とそのお抱えの小娘。こういう話は昔の方がよくあったんだろうか?

最 後まで読んで、その話のどんでん返し感にもびっくりだけれど、そこまでにいたる男女の思惑、たんにどろどろしたということではないリアルな愛憎、男と女の 見えない駆け引き。やはり女は強し、か?いざとなると腰が据えられるのはやはり女性なのか?ちゅうか女性こわい、と思ってしまう。

しか し作者の男性、女性を問わない心理描写は見事。作者男なんちゃうか?と思ってしまえるほど、男性には主人公もしくは初老の男の言動心理はよくわかるだろう し、また妻、愛人とう女性側の言動心理もなるほど女性ならではのもの。あまりにも両者リアリティがありすぎて、読み進むほどに心苦しくなってしまう。ドキ ドキとはちがって、主人公への心理的圧迫感がそのまま読者にまで伝わってくる。恐ろしい。

結局結論はうやむや、というか、本当のところはどうだったんだろう?男性情けなし。うろたえるまえに己が病院もう一度いって検査したらええやんけ!と何度思ったか。

面白かった。

新潮社 2006

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