田口ランディ – ミッドナイト・コール

少しずつさみしい女性がでてくる9編からなる短編集。みんな自分を見失って苦しんでいる。それらがごくふつうにあるような景色のなかで見事に描かれてい る。自分が女性でなくてもこの物語たちのなかにでてくる女性たちの気持ちはなにかしら染みてくる。それはこの話が立場逆にしても少しはわかる物事を描いて いるからなのか、単に僕がそういう性格だからなのか、はわかんない。でもこの物語たちの中に出てくる女性たちの相手、つまり男性、の立場でみても「あぁ、 こういう男いるなぁ」と思ったり、「こういう態度とることあるよなぁ」なんて思う。ランディさんってなんて観察眼がいいのか。経験してるよなぁ。

「ア カシアの雨にうたれて」に出てくる男性は、男がだれしも一度はそんな経験あるんじゃないかな、こんな風にするの。「花嫁の男友達」はこれまたよくわかる (といってもこんな経験ないけど)話。「海辺のピクニック」「海辺のピクニック、その後」は男が「あちゃー」と思う男がでてくるけれど、僕なんかそんな風 になってしまいそう、いや、なってしまうんちゃうかなー、と思うような情けない男が、「100万年の孤独」を読んだら”100万回生きたねこ”が読みたく なった。

ほかにも短編あるけれど、これらが好き。

PHP研究所 2003

ミッドナイト・コール
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