よしもとばなな – イルカ

これはフィクションなのかそれとも結構事実なのか、そのへんの事情はよくわからないけれれど、主語もなく冒頭から一気に一人称で描き出される物語のスピー ドと展開にすぐに引き込まれて一気に読んでしまった。章立てもなにもなく、まるで親しい友人が目の前で最近起こったことを矢継ぎ早にしゃべっているよう。

女 性の視点で描かれているから、実はところどころに見え隠れするこまかい感情についてはわかりきれないところもあるけれど、主人公キミコの一生懸命生きてい る様子、落胆する様子、とまどう様子なんかが、恥ずかしげもなくというか赤裸々にというか、はっきりいって痛々しいほど生々しい感情の吐露として描かれ、 読んでいて息苦しくなってしまうほど。こんなにストレートに全部正直に言葉を飾らずに感情を出されたら、こちらはただただうろたえるだけ。堪えられそうに ない。

でもそのほんとにほんとなストレート感は嫌なものではなく、素直に(いい意味で)きれいに、潔く生きようとするひとにはとてもうらやましい姿なんじゃないだろうか?自分にはきっとできないけれど。だからこそ読んでいて自分との差に愕然とし息苦しくなるのかもしれない。

ぜひ女性に読んでもらいたい本。

いままでよんだばなな氏の本で一番好き。衝撃的だった。あまりにも直球すぎて怖い。でも好き。

イルカ
イルカ

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