田中啓文 – ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺2


前作があまりにおもしろかったので、連続して一気に読んでしまった。

一話完結的な要素は薄まり、前の話がつぎの展開へとつながっていくようになり、竜二こと笑酔亭梅駆の成長記的などたばた劇となっていく。これまた楽しい展開。落語とミステリーという枠組みでなくて、梅寿や梅駆、そして江戸落語の担い手たち、魅力的なキャラクターがたくさんでてくる物語に変化しているあたりが見事。飽きさせずに読ませる。

江戸と上方の比較がしばしば出てくるのだが、これが、なるほどへーっというものばかりで面白い。落語文化をしらないからそう思うのかもしれないけど、お互い認め合うものもあり、確執もあり、ってところが音楽業界と同じかも。もしかして田中氏は両方を掛け合わせて(氏は両方詳しいから)無意識に描いたのかも。たしかに関西にいると東京はそう見えるし、逆もまた然り。これを肯定的に見るか否定的に見るかで先がかわってくるよなぁ。

本書には8編含まれているが、どんどん話が広がっているからか、ひとつの話がふくらんで結構きつきつになってるかも。もっと頁さいてもいいような気がするなー。お話がもったいないかも。

粋、江戸なら「いき」、上方なら「すい」、うーーーーん、なるほど。

集英社文庫 2008

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