有川浩 – 塩の街


再び有川さん。先日読んだ「クジラの彼」がとても面白かったので、その元になっている話を読みたかった。この本はデビュー作。文庫版ということで本編の後日のストーリーを加筆したもの。

ある日宇宙から謎の物体~巨大な塩の柱~が降って来る、というかやってくる。因果関係は不明だが時を同じくして人間が塩になってしまうという塩害が発生し、社会システムは混乱し、人口はみるみる減ってしまい、この世の終わりの様相を呈する。そんな中、生き延びようとする秋葉と真奈。偶然彼らと出会う人間たちを通して世界のありようを理解していく。あるとき秋庭の昔の仲間が現れて言う「世界とか、救ってみたくない?」

いやー、面白い。設定がいきなりなところから始まるし、話が進むにしたがってこの世界がはっきり見えてきて、いったいどうなるのか?と思いながらぐいぐい引き込まれてしまう。こんな感じの突飛なでも今の時空間と地続き的なエピソードのSFは大好き。塩になってしまう、という意味のわかんない、けれどありそうな感じがいいなあ。そして後半になるとやっぱり出てくるメカメカした要素など、ほんと女性が書いてるの?と思ってしまう。

でもやはりメインはラブコメであるところは外してない。主人公が女子高生なのもあってその辺りの描写がすごく女の子女の子してるのも楽しいし、それがどちらかといえばシリアスな設定の話に明るいアクセントを置いてると思う。追記している後日のエピソードもすこしほんのり心温かくなったり、ニヤとしたりするもので、本全体がうまくまるくなってるなーと感心。

有川さんはこの作品を称して「あまりにも拙い」とあとがきでおっしゃっているが、いやいや勢いスピードがあってすごくいいし、この話はこの感じ以外ないように思えるなー。

角川文庫 2010

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