梶尾真治 – 黄泉がえり

初めて読む梶尾さん。タイトルから勝手に想像して怖そうな話なんかなぁと思ったり、先日浅田さんの「椿山課長の7日間」を読んだのもあってまた誰かが黄泉の国から帰ってくる話かなぁ、なんて思いながらページをめくる。ある日亡くなったはずの人が帰ってくる。それが一人や二人ではなく無数に・・・・。

いきなり文頭でSFチックな表現ではじまるので「???」と思ってしまったけれど、これが伏線として要所要所に挟まれて次第に意味が明らかになっていく。そして拡大していく黄泉がえりの現象。一度亡くなった人が復活する(一般にはありえないこと)ということで巻き起こる騒動や悲喜こもごも(やっぱり亡くなった人がある日突然帰ってきても、すんなり受け入れられてしまうものなのか?)があったりしてこのあたりの描写が面白い。そしてこれらの現象を「なぜ?」と考えるところから謎解きがはじまる。

作者の地元だという熊本というローカル地が舞台なのも好感。最近伊坂さんが好きで仙台が舞台っていうことが気に入ってるからかも。なんでも話が東京やら大阪みたいな大都会だとおもしろくないし、あまりなじみのない土地が舞台となってそんな街が紹介されていくのも旅をしているようで楽しいもの(テレビドラマでよくある湯けむりうんぬんみたいに観光地紹介見て喜んでるようなものかもしれないけどー)。

よみがえる人は全員ではなくて限られた人。その人たちが何故選ばれてよみがえったのか?彼らが生きている人たちに与えるものとは?そしてところどころに挟まれる謎の描写は?物語がうまく構成されててじわりじわりと進むのがいい感じ。よみがえった人たち語ること、宿る力、遺していくもの、どれもが奇蹟的で美しい。

梶尾さんの他の本も読んでみたいなー。

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