百田尚樹 – ボックス!

ちょっと前に読んだ「永遠の0」がすごく面白かったので百田さんのほかの作品を、と思っていたら目に付いたこの本。評判もよかったので。

高校ボクシングのお話。あんまりボクシングには興味ないけれど、ボクシングの大まかだけれど丁寧な説明や、プロとアマチュアの違いなんかをうまく視点を変えながら(一人称になる登場人物が3人いて、それらの立場からボクシングをみるため、登場人物の目を通して読者がうまく知識を得られるよう配慮してある。この辺は解説の北上さんがうまく説明してくれてた)描いていってるので、ボクシングをまったく知らなくても、物語にすっとはいっていけるし、ストーリーはあくまでもシンプル、ストレートにしている分、感動も素直に湧いてくる。

2人の少年と1人の女性教師の青春期みたいな感じだけれど、天才的な鏑矢少年にはまぶしさを感じるし、努力の人木樽少年には期待と応援を、そしてきっと美しいんだろう耀子先生は少し大人だけれど少女のようで・・・分かりやすすぎるほど明快なのに、でもちっとも飽きもせずに上下巻一気読みしてしまえるのは、うまいキャラの活かせ方と話の運び方、そしてボクシングを知っていける魅力をうまく織り交ぜたからだと思う。なんか木樽少年にあわせて自分も強くなったような気もしちゃうし(笑)

ラストがいわゆるハリウッド映画みたいに単純じゃなくていいし、それだけじゃなくてエピローグまでつけて読後に爽快感まで味わわせてくれて、憎いなーという感じ。素敵な青春小節でした。

ひとつ残念なのは章立てになっていて、事前にその章ごとのタイトルをみちゃうと(もちろん目次になってるけど)だいたいのストーリーが読めちゃうことかな。でも全然かまわないけれど。予想通りの進み方でもそれを上回って内容楽しいから。

太田出版 2010

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