見原洋子@CHOVE CHUBA

28日に月初のRAGに引き続き、見原洋子の秋のワンマンツアー@CHOVE CHUBAがありました。

しつこく毎回書いてますが、ほんとこのライブいつもいつも楽しみにしていて、春秋にしかないのが非常に残念なのですが、今回もRAGが終わったあと、も一回あるなー、と楽しみにしていたのですが、いざ当日を迎えると、ああもう今日になってしまった、今日演奏したら終わってしまうやん、嫌だーー、という楽しみなのに嫌、というわけのわからないジレンマに陥りつつ、ショビを訪れると、すっかり濃くなった秋の気配といつものお店の佇まい、仲間の顔に癒されて、そんな気分はどこぞへ。今日もひたすらいいライブになるといいな、という想いで満たされました。

見原さんはちょっとしたこと(でもないか)があったそうで、リハからぺっぺいさんが「今日はえらいことなんでー」と言ってたように、リハからいつも通り(?)よく泣いていたのですが(こちらももらってしまいそうになるのですよ、ほんと)、ライブ本番は立ち直っていてほっとしました。RAGに引き続き最近の曲を中心に新曲たちももっといい感じになってたし、昔からの曲ももちろん、ピアノの竹内仁美さんもすっかり馴染んで(というかもう数年来のメンバーだったかのような存在感ですな)、素敵なお客さんに囲まれて、そして素敵なお店/空間でのライブ。もうほんと言うことなんてないです。いい時間を過ごせました。

んで、前回のRAGからとくちゃんに許してもらって(?)たたいてるタンタンが異常に楽しくて、サンバ系の曲もっとやらへんかなーとか思ったり(笑)。かなみちゃんにもえらく褒めてもらって(ま、素人芸ですが)調子に乗ってますが、あれ、敲いてるだけで異様に幸せな波動がでる、というか、もともと好きな打楽器、そしてああいうグルーブする音楽に参加できるというのは管楽器でいるときの立ち位置と全然ちがって、音楽自体の根っこにいる感じがするし、もっとよく曲が聞こえるので、ほんと楽しいのです。で、その楽しい波動がでているようで「そのままでいいでー、タンタンのこと研究とかせんでええでー」と言われました(笑)。いいねん、敲くだけで楽しいからw

最近は音楽(というか演奏)への依存度が高くなっているというか、へんてこな精神状態に陥りやすくなっているのですが、こういうライブ、とくに見原さんのライブに参加していると、だいぶ救われる感じがします。やっぱり曲や歌詞もだけれど彼女の歌を通して表現される世界がとてもピュア(正確には表現しにくいけれど、純な部分がよく見える感じ)で、そういったものがあちらこちらに開いた穴にすぽっとはまる感じというか、そんな感じがするのです。うまく書けないや。

なんせ楽しい夜でした。打ち上げもいつものショビの時のように深夜というか朝まで。だらだら喋って呑んで(今回は呑んでない)、セッションして。みんなほんとにありがとう!

竹内さんと♪
竹内さんと♪(photo by 斉尾さん)
打ち上げ
打ち上げ。無限セッションループに(笑)タンタン楽しい!(photo by 斉尾さん)

 

 

信州JAZZ民Study-1

楽しい夜でした
楽しい夜でした(photo by 表さん)

先日長野県は松本市を訪れました。偶然から知り合った方(この方が信州JAZZ民を主宰しておられる方でした)からの話がきっかけで企画された”Study-1”というコンサートでした。初めての土地で、関西からのミュージシャンというのはなかなか難しい企画になりそうでしたし、なかなか難航もしたのですが、いざ蓋をあけてみると、大盛況。お客さんも熱いし、演奏も熱く、零下の気温なんてなんのその、素晴らしくいいコンサートになりました。

松本は昔からの城下町で観光地としても有名ですし、音楽も盛んなようで、毎夏にはサイトウ記念オーケストラが公演を行うようにクラシックが盛んです。そんな中にもちろんジャズファンもいらっしゃるそうなのですが、それでも都会とは違ってそんなに盛り上がっては(都会もどうだか、ですが)いない。そこでもっと信州でジャズを流行らせたい・・・そういう意味で立ち上げた「信州JAZZ民」というグループだそうで、その第一回目の企画になった今回のコンサート、その出来によって今後の様相も変わるかもねー、ということで、とても緊張して(実は)迎えたのでした。

途中寄ったSAから
途中寄ったSAから。うっすら雪景色。

最初はピアノの牧さんに声を掛けて・・・というところから始まったのですが、その仲介をしたこともあり、僕も入って、そしてベースに萬くんも、という風に話が進み、でも馴染みのない関西のミュージシャンばかりというのもなかなか難しいかもということだったので、現在松本在住のドラマー表直志氏に参加してもらってのカルテットになったのでした。

折りしも観光シーズン真っ盛りで予想してたとはいえ渋滞に巻き込まれたり、意外と遠い松本までちょっと時間かかってしまい、リハーサルも駆け足で、表さんともろくに挨拶もできず、という状態でのステージだったのですが、いやいや、最初に信州JAZZ民の水谷さんから聞かされていた「松本の人たちはおとなしいですから・・・」という話は一体どこへ?すごく盛り上がってくれたので、こちらも熱い演奏を繰り広げることができました。初めてでリハも十分じゃなかったのに、表さんも快くいろいろ付き合って下さるし、熱いドラムで盛り立ててくれて、すごく楽しかったです。

選曲もよかったとお褒め頂いたのもうれしかったです。普段はやらないようなド・メジャーなスタンダードから映画の楽曲、日本の曲、そしておまけで僕の曲とか。内容もだけれど選曲というのも(曲順やMCも!)やっぱり大事だよな、と改めて思いました。

いいコンサートができる/出会えるとこちらまで元気になります。どうなることかと心配ばかりしてたけれど本当に行ってよかったです。いらしてくださったみなさん、ありがとうございました!そしてメンバー、表さん、水谷さんをはじめ信州JAZZ民の皆さんと協力いただいたスタッフのみなさん、チクマ楽器の社長、ありがとうございました。また松本訪れたいです!

リハの様子
リハの様子
いい感じ♪
いい感じ♪(photo by 表さん)

PS
しかし、返す返すも残念なのは、次の日の予定が早かった(というか予定入れるなよ、という話なのですが)ので、コンサート終わって打ち上げも乾杯だけして夜行バスで帰る、という寂しい展開だったこと。牧さん萬くんは十分打ちあがって、次の日は温泉に蕎麦にネコ三昧だった様子、くーやーしーいーーー!

伊坂幸太郎 – 魔王


タイトルを見て「死神の精度」みたいに魔王がでてくるのかなーと思ったけれどそうではなかった。不思議な力をもった(かもしれない < この辺りが面白い)兄弟のお話。表題の「魔王」は兄である安藤の話、後半の呼吸は弟である潤也の話。

念じることによって(条件はあるのだが)それを他人にしゃべらせることのできる能力。ある日安藤はそんな力が自分にあることに気づく。最初はその能力に懐疑的だったが、本物であると信じうるにあたり、あることを思いつきその実行をしようとある政治家に近づくのだが。。。そして5年後、弟である潤也は賭け事に必ず勝てるという(これもある条件があるのだが)能力があることに気づく。

しかしとくにこの兄弟の能力により何か大きな事件がおきたり、世界が変わったりする、そういう部分は描かれない。あくまで個人の力が及ぶ範囲のものごとでしか描かれてない。しかしそんな個人の力で社会に影響をおよぼしたい(及ぼすべき理由/思想があって)と兄弟は心では思っている。その対象は国政。野党ながら歯に衣を着せぬ物言いと、的確な指摘、魅力によってのし上がる犬養議員(やがて首相になるのだが)に焦点が絞られている。話は結局は彼にはおよばないのだが、なにか、話全体として大きな流れのなかに小さな力が及ぼしうる希望的可能性を示唆するかのよう。

まぁ、いまちょうど国政のややこしい時期だからとくにこの犬養という人物の言動に注目してしまうのかもしれないけれど、もしかすると世間のみなさんはこんな人物の登場を心待ちにしているかもしれない。強い、言葉と行動を曲げないリーダー。でも、彼にも、そしてそれを指示する人間にも”覚悟”がいる。なるほどもっとも。でも考えれば恐れてしまうこと。でも、それが必要なときが来ているのかも。

ちょっと読み返してみても不思議な小説。何かにオチがつかないまま無言の可能性だけを残して次へ次へとすすむ伊坂ワールド。つかんだようでつかまえられないもどかしさ、でも何か心に爪痕を残す。

講談社文庫 2005

名鼓美さんリハ

今日は11/30にあるナコミ祭りのリハーサルでした。サックスだけの男前なセクションでバリサクをやります。ひさしぶりに持ったけれどやっぱり重い・・・w。でもブルースとかのセクションの一番下をどんどこ吹くのは非常に面白いです。

初めての参加なので、もちろん初めましての方々ばかりですが、ギターの森俊樹さんやタイコの小林健治さんなんかめちゃくちゃ久しぶりで、それだけで楽しくなります。セクションも小松さんに村地さん(実は初めまして)とブルース臭満載でこれまた楽しいです。いやいやリハーサル自体も楽しかったなぁ。

リハの様子
リハの様子 セクションやら山田さんやら
ナコミさんやら森さんやら健治さん
ナコミさんやら森さんやら健治さん

11/30 きっと面白いライブになるので、ぜひぜひ、です。

************

11/30(Fri) ナコミ祭り
神戸 三宮 Chicken George 078-332-0146
18:00 Open / 19:00 Start
前3,000 / 当3,500
[出]Nacomi& All Stars : Nacomi(Gt, Vo)、森俊樹(Gt)、小林健治(Ds)、山田晴三(B)、村地博(Ts)、小松竜吉(Ts)、武井努(Bs)、花田エミ(Key)、Yammy(Cho)、Sakachie(cho)

 

 

重松清 – 半パン・デイズ


どうしてこうも重松さんが書く物語は心の底に眠る懐かしい記憶、匂い、甘酸っぱい想いなんかを見事に掬い出してきてくれるのだろう。年齢が(というか少年時代の時間的重なりが)近いというのももちろんあるのだろうけれど、ちょっとしたところで拾われる(ゆえに文章中に出てくる)物事が自分の中で忘れていたものを思い出すスイッチになっているよう。

昭和40年代半ばごろ東京からひとつの家族が瀬戸内の小さな街へと引っ越してくる。そこは少年ヒロシの父の故郷。東京と違い、言葉も荒く、港町だから気性もあらい人たちが住み、プライベートなんてあんまりない、そんな慣れない環境だけれど、一度受け入れてもらえればみんな家族・仲間。そんな中でヒロシは多感な小学生時代を過ごし成長していく。これはヒロシの成長、仲間との友情、まだ青春というには青すぎる子どもから少し大人になる時間を描いた作品。

出てくる時代背景が何もかも懐かしい。読みながら自分の小学生時代を思い出した(実際物語はぼくが生まれた頃にスタートするので6年ほど過去だけど)。子どもたちの中ででてくる流行もの。鉛筆のキャップ集め、フルーツ消しゴム、金色に塗られたシャープペンシルの芯、駄菓子屋さんのさまざまなお菓子やゲーム。4年生ぐらいになったら急に女子が大人びた感じになったこと。バレンタイン・デーのチョコレート。階段の段数をより多く飛び降りた奴がエライこと。修学旅行。・・・すべてが懐かしい。でもそれらがただ単に懐古するために描かれるのではなく、小学生ヒロシの”今”を描くためにさらりと登場し、物語の引き立てをしているだけ。でもそういう細かいものたちが僕のような世代の人間にはとって、物語をよりリアルにさせるアイテムとなっているのは確か。

思い返せばいろんな奴がいた小学校。最初はみんな同じようでも学年が進むに従って、走るのが速い子、賢い子、おもろい奴、けんかばかりする奴、やんちゃな子、悪い奴・・・いろいろな顔が、特徴がでてくる。仲良くしたり喧嘩したり、競ったり、泣いたりしながらみんなで過ごした時間。今から思えばみんな可愛い。そうやって中学というより大きな社会に出て行く前の小さな社会で、でもそれが世界のすべてであるかのように思っていた小学生時代は幸せだったのかも。時代もよかったのかもしれない。女の子と本気でけんかできたのも子どもの頃だけよねぇ。へんなあだ名つけたりからかったりして。

最初は「トーキョー」というあだ名までつけられ、ちっとも馴染めなかったヒロシが、おどおどしながらもやんちゃな同級生や周りの大人たちに励まされ、いじめられ、仲良くなったり別れたりしながら成長していく物語がすがすがしい。9編の短編からなってるが、とくに「あさがお」「しゃぼんだま」「みどりの日々」が好き。

読者それぞれにもヒロシのどこかの部分が重なるかも。こんな本を書いてくれて重松さんに感謝。

講談社文庫 2002

工藤くん2Days

11/11、12と2日間、久しぶりにベーシスト工藤精とライブをしました。一年ぶり、かな?今回はいつものリーダーぽいライブではなくてセッション的なライブ、そして2日間違う組み合わせでやりましたが、両日ともすごく楽しくいい音が奏でられたんじゃないかなーとおもいます。集まって下さったみなさん、そして共演してくれたメンバー、本当にありがとう!

1日目はJust In Timeで若手とのセッション。アルトの柏谷くんとタイコの橋本くんと。コードレスでやるのは実は久しぶりだったけれど(東京だとこのスタイル多かった)やっぱりすごく楽しいし、演奏も深いところにどこまでも潜っていける感じ。これも工藤くんあってのことなんだけれど。若手2人は刺激になったかなー。単に自由にやるだけじゃなくて、一から描いていく感じ、潜っていく感じ、自分も久しぶりに感じたけれど、こういうのがすごく面白いってことをもっと感じてほしかったのもあって、こんなセッションをセッティングしたのでした。いつものようにまたお店にはおんぶに抱っこしてもらってしまったけれど、こいう思い切ったことやらせてもらえてすごく感謝しています。マスターありがとう。

ライブ後ラーメン食うの巻
ライブ後ラーメン食うの巻。工藤くん、柏谷くんと。4人で写真撮るの忘れた。橋本くんごめんよー。

そして2日目はOTO屋できばやん、そしてめちゃくちゃ久しぶりの清水勇博くんと。ほんとよくこのメンバーのタイミングが合ったなーと、その偶然に感謝してますが、もうメンバー決まった時点で演奏が素晴らしくなるのはわかってました。が、蓋を開けてみたら、思ってた以上に本当に楽しい夜となりました。何をやっても、どの方向にいっても常に創造的だし、厳しいけれどウィットにも富んでいて、セッションでなかなかこうはならないです、普通、たぶん。リハもしなかったし(笑)。こういう演奏できたら「音楽やっててよかったなー」とつくづく思い知らされます。こんな機会を提供してくれた永井さん、マスター、ありがとうです。

工藤、僕、清水、木畑
ライブ後のショット。工藤、僕、清水、木畑。あー、楽しかった!

夢のような(言い過ぎ?w)2日間を終えて思うのは、やはり音楽はその場でつくられるものだし、僕自身が「いい演奏できたな」と思えるのも、その場所があり、聴いてくれる人がいて、そして素晴らしい共演者がいるからだ、ということです。当たり前ですが。もっと言うと、僕が演奏をしたわけじゃなくて演奏をさせてもらった/音楽やってて自分が生かされている意味を実感できる、そういう機会/時間は自分一人では到底生み出せないんだろう、ということです。初めてではないですが、この2日間で改めてこういう時間を過ごせたことを感謝したい、と思いました。ほんとみなさんに感謝、です。

この気持ちを忘れず、切らせずに、またやっていきたいと思います。

ありがとう。

 

見原洋子@RAG

昨夜、見原さんのライブが京都RAGでありました。彼女のライブがあると、ああ秋だなぁ(もしくは春だなぁ)と思います。春秋にやるというパターンがこの数年つづいているからです。毎回書いているように、毎回楽しみで終わるとすごく寂しいです。

リハの様子
リハの様子

今回はみんな忙しくて前日にリハをしました。新曲も3曲あり、ぼくも元々自分の演奏用にと夏前に書いた「あさがお」を彼女に渡したら、それに見事な歌詞をつけてくれたのでした。あとはぺっぺいさんの曲と、とくじろうが歌詞を書いた曲と。それらやいままでの曲なんかをいろいろリハで練習して、それだけでもう楽しいんだから、いったい僕らはどんなけこのバンド好きやねん、て感じです。

ライブもたくさんのお客さんがいらして下さって、とても盛り上がりました。もうすっかりメンバーとなったピアノの竹内さん(もう彼女なしにはこのバンドのサウンドでなくなってしまった!)も含めた6人で紡ぐ音は本当にしあわせな時間をつくりだします。聴いてるほうも楽しいでしょうけれど、やってるほうが一番楽しかったりして。また特に昨夜は演奏もすばらしくよかったし、見原さんは新記録か?というぐらいよく泣いたし(笑)、2ステージともあっという間でした。ほんともっとやりたいのになあ。月一ぐらいでやってくれないかな(笑)。あと、冗談で言ってるけど「見原、倒れるまで歌います!」って企画もやってほしいなぁ。ほんといい曲ばかりだから。

とにかくほんと(自画自賛?)いい音楽やってるので、ぜひたくさんの人に聴いてもらいたいです。次回は11/28に大阪の靭公園わきにあるショビシュバでありますよ。

おまけ:今日はスルドも叩きました。これめちゃ楽しい。やってると恍惚状態になりそうでこわいですw

今日のあしもと
今日のあしもと

 

唯川恵(選)- こんなにも恋はせつない

女性作家10人の作品を唯川さんが選び集めた短編集。タイトルからもわかるように全部恋愛もの。ネタは違えども同じ分野で書かれた作品を比べて読めるので面白い。

収録されているのは、江國香織「焼却炉」/ 川上弘美「物語が、始まる」/  小池真理子「倒錯の庭」/ 高橋のぶ子「ドン・ジョバンニ」/ 田辺聖子「おそすぎますか?」/ 藤堂志津子「グレーの選択」/ 林真理子「花を枯らす」/ 森瑶子「アンフィニ」/ 山田詠美「天国の右の手」/ 唯川恵「月光の果て」

やっぱり文章のトーンや字や表現の選び方で江國さんが一番好きかな。川上さんの作品は読んだことあるぞぞっとするやつだった。あとは森瑶子さんはぽいなーという感じか。話としておもしろかったのは藤堂さんの「グレーの選択」。ま、どれも面白かったけど。でも林さんのは読まなかった、苦手だから。

音楽にはオムニバスもの結構あるけれど、文庫本でもこういうの手に入りやすくあれば、いろんな作家さんに出会えるかも。でも魅力は全部わからないかも。そういう意味では音楽と一緒か。難しいな。

光文社文庫 2004

慣れないなぁ・・・

先週とそして昨日、レコーディングがありました。まぁレコーディングもいろいろやってきましたが、今回のものは吹奏楽向けのデモ演奏(そう、楽譜のためのサンプルです)だったのですが、僕なんかがやるとナンチャッテになってしまうのですが、アレンジ自体がロックやポップスぽいものなので、ぎりぎりOKラインかな?というところです。でもいろいろ経験していかねば、です。

2人なのにこんな状態で
2人なのにこんな状態で

サックスセクションは落合さんと2人で吹きました。久々にアルトも登場。同じ曲を違う楽器で吹くってのもなかなか混同しちゃって大変ですが、すごくいい訓練になりました。

しかし普段は自分の好きなように吹いてますが、譜面というか、吹奏楽ぽく(勝手なイメージですが)吹くのはすごく難しいです。なかなか普段とニュアンスが違うので。セクションならまだしも、ソロ(書き譜面が多い)になるとなかなかイメージどおりにいかなくて、苦労しました。さらに「好きにソロ吹いて」なんか言われてしまうと・・・・、中高生向けではなくなったり(^^ゞ

いやー、いつまでも勉強ですね。大変だったけれど、またやりたいです。

落合さんと
落合さんと

石田衣良 – 波の上の魔術師


大学は卒業したものの就職浪人して毎日パチンコでぶらぶらする男・白戸の前に、ある日老人が現れてパートナーにならないかという。やくざ者ともかかわりを持っているような雰囲気のある老人だったが、その元を訪れてみると、老人はディーラーだった。老人から株のディールについて教わる白戸。はじめは何も分からなかったのだが、そのうち数字が踊り、その波が見え感じられるようになっていく・・・

僕はいわゆる金で金を生むような行為は好きじゃない。やっぱり労働の対価としてあってほしいものだし、金が金を生んでいる場所にはリアルはものは存在しない、全部データだけ。そういう世界はありだけれど、自分はリアルに感じられるものを触っていたいと思う。そんなだけれど、まったく知らない世界の話、そしてきっと簡単ではないけれど、一部の才能と勇気がある人間になら乗りこなせる世界がいくつかあって、そのひとつはこの株の世界なんだろうと思う。

何も知らなかった白戸がどんどん株の勘を会得し、老人の目的を知るようになっていくに従ってストーリーもスピードアップしていき話にどっぷりはまってしまった。単なる金儲けの話じゃなくて、バブル崩壊後の日本経済の悪化とそのときの国策や銀行や保険会社の行動、世界経済について社会的な指摘も交えながらの話の構成は見事。結局銀行や保険屋の食い物にされたのは子供のためになどなど小さな幸福を望んだ高齢者ばかりだった。犯罪かそうではないのか?事実にそっているだけにすごくリアルさがあって面白かった。そして単純なハッピーもしくはアンハッピーエンドではなく、ちょっとした仕掛けもあっていい感じ。さすが石田さん。そしてこんな世界の話なのにどこか青春小説ぽいところがまたいい。

文集文庫 2003