中島らも – とらちゃん的日常

ねこつながりw。らもさんの本はもう彼が亡くなってからほとんど読まなくなってしまっていたけれど、やはり古本屋さんでちらりと覗いた表紙のねこ(とらちゃん)の写真があまりにも可愛かったので、手に取った。いままでらもさん結構読んだけれど、ねこの話なんて書いてたかな?と思い読み出してみたら、そうですか、らもさん家は動物だらけなんですね。

なじんだらもさんの語り口そのままの文章に懐かしさを感じながら、そこに描かれるとらちゃんというねこへの愛情をすごく感じ(ねこばっかりの文章だけじゃなくて、たまに登場するあたりがいかにもねこらしい)るし、相変わらずらもさんの話はちょっとしたことでも面白い。なので一気読みしてしまった。

ところどころに差し込まれるねこの写真(とらちゃんだけでなくふくちゃんというねこも出てくる、かわいい)もやたらと可愛くて、もうめろめろ。いくつかの写真にもらもさん自身も写っているのだけれど、どことなくリラックスしている表情していて、とても和む。

ああ、らもさん生きてたら、もっとねこ可愛がりしたのかなぁ。いまとらちゃんはどうしているんだろう。

文集文庫 2004

永森裕二 – ねこタクシー

昨年だったかいつだったか忘れたけれどカンニングの竹山さんの主演で映画化された作品の原作というか脚本を読み物化したもの、かな。話題になっていたのも知っていた(映画は見なかったけれど)けれど全然興味湧いてなかったのだが、古本屋さんでふと目に留まって手にとった。無論表紙の猫の写真がかわいかったからもあるのだけど、どんな話なのか読んでみたくなって。

ぜんぜん営業成績のあがらないタクシー運転手間瀬垣さんがいつも休憩に使っている公園で出会ったデブ猫”御子神さん”。偶然なのかタクシーにこの猫が乗り込んだことから主人公の生活が、人生が変わって行く。御子神さんは単にいるだけなのに、この猫を通して人と人がつながったり、主人公に何か示唆を与えたりする。ほんとにこんなことができたら楽しいだろうなぁと思うが、話の中にも出てくるように、こういうことは営業上難しいそう。

お話はあったかくてとてもよかったけれど、それよりやっぱり作者の猫の観察眼というか、猫の生態をよくわかって描いているのがとても楽しかった。猫って普段ぐーたらしているし、特になにもするわけないのだけれど、それが意外と雄弁に何かを語っている(ように受け取れてしまう)様子なんかをうまく描いてるなーと思う。本人にしたら単に居心地いいとこを常に求めているだけなのかもしれないけれど。

僕も昔飼っていた猫にこんなやつがいた。何人か人間がやってくると、とにかくその中で一番ねこ嫌い(もしくは慣れていない)人のところに行って、ちょこんと膝にのる、そういうねこだった。おかげでねこ嫌い(不慣れ)な人もねこ好きになってしまうという、全く不思議なねこだった。そういえばその子もだいぶお年を召した状態で拾って来たなぁ。あれ、感謝なのかな。

とにかくねこにはやられっぱなしなのです。はい。

竹書房文庫 2009