田中啓文 – 茶坊主漫遊記


田中さんのまた歴史物っぽい本。この間読んだのは忠臣蔵だったから今度はなにかなーと思ってたら、謎の僧侶二人づれ、それにもう一人おどけた人物が加わった3人の珍道中、、、というと弥次喜多とかそれこそ水戸黄門みたいだけれど、そんな感じではなくて、”もしかして実はこんな史実だったら・・・”という、そういう意味では忠臣蔵のやつに近いのかも。今回もキャラがたった人たちばかりで楽しい。

それにしてもばらばらには知ってるけれど、(どうも歴史と言うのが勉強の対象としては面白いと思えなかったのでぜんぜん知らないだけだけれど)関ヶ原とか天草の乱とか、柳生十兵衛とか宮本武蔵とかが同時代ということは全然しらなかった。これらをうまーくひとつにまとめて話が進むので面白い。で、その結局のところの怪しげな僧侶がだれだったのか、というのは伏せておくけれど、いまの感覚ではわからないけれど、当時なんてちゃんと顔を会わしたことがない人同士が戦ったりしていたわけで、いざ捕まえてから本人かどうかなんて実はわからなかったことが多かったんじゃないかと思う(このあたりは忠臣蔵も同じネタつかってましたが)。息子や娘もはやくに養子や嫁にだしてしまったり、だれがだれのどの子でーとかなんかわかんなくなったりもするだろうし、ましてや顔を知ってて本人だとなんかわかりようもない、ってことが数多あったのではないかと。

そんなある意味のんびりしていた時代の感じを味わわせてくれたりもするし、ちょっと頓知の利いた謎解きもあって(これがおおい)すっと読める作品だった。隠居しないでまたどっかに旅にでてほしいなぁ、治部さま。

集英社文庫 2012

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