Home > Archives > 2013-11

2013-11

伊坂幸太郎 – あるキング


努力と才能で野球界における怪物(異物)といわしめるほどの打者になった王求(おうきゅう)。彼のその数奇な運命の人生を描く物語、と書いてしまうとすごく単純なものなのだけれど、そうなのかそうでないのか。いままでの伊坂さんの作品のように複雑で見事なパズルを解いて行くようなものはなくて、ちょっと面白い運命の輪があるぐらい。

今回のテーマは冒頭に引用される「マクベス」の”Fair is foul, and foul is fair.”。「きれいはきたない、きたないはきれい」などいくつか有名な訳がある言葉。この物語はいたるところでこのマクベスの言葉や物語そのものが出てきたり、解説で柴田元幸氏が「野球をテーマにしている物語を念頭において描いた、と作者がいっていた」というようなことを書いているのだけれど、残念ながらどれも読んだことないので、そのあたりの面白さはわからないのだけれど、伊坂さんは”絶対的なものはない”と言っているんだと思うな。けれどもその”絶対的なものはない”ということすら絶対ではなくて、けれども”すべては相対的なものである”かといえばそうでもない、という、まさに現代の感覚という感じか。

ま、そういうこともありつつだけれど、サクセスストーリーというのとはちょっと違うけれど、この主人公がどんどん成長して行くのをみるのは面白いし、いろいろトンチの効いた言葉でてくるし、面白い物語だった。いまちょっと読み直してみたけれど、ずるずると最後までまた読んでしまいそうになった、あぶないあぶない。

しかし最近(?)伊坂さん適当に当て字すんの流行ってるのかなぁ。「仙醍市」とか「東卿ジャイアンツ」とか(笑)

徳間文庫 2012

NORAさん

20131122-1

先週2年ぶりにNORAさんとご一緒しました。場所は同じく愛知県は豊橋にて。前回はある会主催のものでしたが(まぁ今回も似たようなものだったのですが)「とよはしまちなかスロータウン映画祭」というイベントのゲストとして、NORAさんとベースの山田さん率いるManborama Legendというバンドのサルサライブだったのでした。

好天に恵まれてのドライブでしたが、えらい渋滞に巻き込まれて(なんか先週もそんなことあったな)だいぶ余裕もって出たのについたらちょうどでした。よかった。NORAさんやメンバーも次々に到着して、セッティングしてリハーサル。2年前にやった曲とかもあったので、うろ覚えだったり初体験のものあったり。でも、基本的にNORAさんが歌う楽曲はキャッチーで楽しいです。

ライブは本当にたくさんのお客さんが集まっていただけて、しかも最初からその盛り上がりが半端ない感じだったので、もう演奏も最初からすごくいい感じに場になじんで、素敵な時間になりました。というか、さすがはNORAさんです。やっぱりスターですねぇ。歌っていてもしゃべっていても踊っていても、その場が華やぐようで、自然とお客さんの気持ちが集まりますから。一緒にやってるこちらも「いいなー」と思ってしまいますし。こんなバンドでもちょこっとツアーでもできると楽しいのでしょうけどねぇ。

結局ほんとうに大盛り上がりでダブルアンコールまであって、ちょっと時間押すぐらいでしたが、それでも会場の熱気は冷めませんでした。いいライブを体験できるとこうなるんだなーという典型的な感じで、ぼくらもちょっと誇らしかったり。いやほんと楽しかったです。また行きたい豊橋!

**

で、明けて次の日は帰路だったのですが、先日の名古屋の帰りに渋滞でいくことができなかった愛知の瀬戸、深川神社前にある(ミュージシャンの間ではかなり有名らしい)うなぎやさんに行きました!やたー!ビバうなぎ!一年に一度くらいしか食べないけどw

知る人ぞ知る的なお店のようですが、おやじさんが一人でさばきも焼きもやるようで、しかもお店も狭く、行列というほどではないのですが「一時間ぐらいかなー」という声がでるようにみなさん待つのが普通のような混雑でした。なので、すぐ近所の深川神社にお参りしたり、その辺にたむろする猫と戯れたりして遊んで(天気がよかったのでのんびりできました)、待ってましたのうなぎ丼!奮発して大を頼んだらうなぎ一尾半、丼からはみ出た焼きたてのうなぎさんは、かりふわで、甘いタレですんごーーくおいしかったです。これはみんなが遠回りしてでもわざわざ行くのが分かりますねー!大満足でした。

田代

田代

うな丼大

うな丼大

街のねこさん

街のねこさん

深川神社

深川神社

**

しかし今月何回東名高速乗ったんだろうというぐらい愛知ばっかりいきました。なんか同じ景色ばっかり見ているとデジャヴのようでしたが、紅葉が少しずつ進んで行く様子は美しかったです。

メンバーと

メンバーと

ステージ中

ステージ中

さぼっている訳ではない

さぼっている訳ではない

宿の朝食ウマすぎ。真ん中の緑のジュース(小松菜)がもっとほしい!

宿の朝食ウマすぎ。真ん中の緑のジュース(小松菜)がもっとほしい!

 

 

 

ゲルハルト・オピッツ Gerhard Oppitz

20131118-1

もともと音楽に触れ始めたのはクラシックで(母親が好きだった)家では聞いたりするけれど、最近は全然コンサートとか聴きにいくチャンスがなく(同じ時間帯の仕事ですから)つまんないなーと常々思っているので、たまの休みの日とかによさげなコンサートがあれば以降と思ってるのです。で、昨日お休みで用事も夕方からだったので昼間ならどこかいけるなーと(大概週末はコンサートはお昼です)思って探していると(関西クラシック音楽情報というサイトを愛用しています)ゲルハルト・オピッツ氏のピアノ・リサイタルが。といっても特に彼のことは知ってる訳ではないのですが、以前NHKのピアノ番組にも出演されていたこともあり、その時の印象がとってもよかったので、じゃあ聴きにいってみようと思ったのでした。

川西にあるこじんまりしたホールでホールの自主企画としてのコンサートだったようで、なんだかアットホームな雰囲気の中コンサートは始まりました。オピッツ氏もすごく温厚そうな人柄で、出てきただけで「あ、来てよかったな」と思えたほどでした。

たましか来ないこういうコンサート(クラシックの)に来ると思うのですが、最初は「音ちっさー」と感じます。ピアノといえどああいうマエストロが弾くと音は小さいはずはないのに。でもそれは如何に普段やかましい環境にいるかということの証明で、しばらくすると前からしか聴こえてこなかったピアノの音が(それはオケでもそうなんだけれど)全身を包むように聴こえてきます。ほんとうに小さな音までよく聴こえるようになる、ということなんでしょうね。普段の生活は家も外もどこでも基本的に音が大きいので、きっと耳がバイアスをかけてるんじゃないかと思います。それがこういうコンサートホールの音量になれてくるともっともっと小さな音も聴こえる/聴くようになるんだと思います。普段まったく気にしてないことだけれど(家では極力静かにしているつもりなのですが)こういう場で気づかされて驚く、と。

で、コンサートはベートーベンのピアノソナタを4作品だったのですが、どれも素晴らしかったです。ま、聴いたことある曲ばかりというのもあったのですが。最初は上述のような理由で「あれ?」とか思ってしまいましたが、慣れてくるに従って完全に没頭してしまえました。気持ちいい音に浸りきるのもよし、曲の流れを楽しむのもよし、オピッツ氏の落ち着いた弾きっぷりに感心するのもよし、素敵でした。

やっぱり(これは完全に偏見ですが)僕は割と年齢を重ねた男性の演奏が好きです。落ち着いているというか、きぃきぃしてないというか。どんなアクロバティックな曲でも落ち着いて聴いてられるし、何より音が好みなんでしょうね。そして何より、ああいう人たちのなんと無駄がなく自然で、そして確信に満ちた演奏に打ちのめされてしまいます。巧いとかいい音だとかいい曲だとか、そんなことよりも、かくあるべしと曲が存在する感じ、そんな堂々たる態度で演奏できる彼の、それらを裏打ちする完璧な技術と哲学や思想、そんなものまで(勝手な想像ですが)が大きな世界として目の前に屹立する、そういうことに感動します。同じ音楽やっててもなんと自分のちゃらいことか。せめて少しでも何か近づけたらと思います。常に思ってることですが、改めて強く思いました。

終演後、ミーハーにもCD買ってサインしてもらったのですが(好きなのもあって聴いたことないけどブラームスのピアノコンチェルトのもの)、そのCDを差し出すと「ああ、このCDを録音したの懐かしいです。」とおっしゃいました。20年前の録音なのですが、そのときバイエルン放送響を指揮したサー・コリン・デイヴィス氏が今年亡くなったのでした。しばしじっとジャケットを眺めるオピッツ氏が印象的でした。

また聴きにいきたいと思いました。今度はブラームス聴かせて欲しいなぁ。でも次の来日のときにタイミング会うかなぁ。今回も関東ばっかりだし。

オピッツ氏と

オピッツ氏と

夕映え天使 – 浅田次郎

浅田さんの本は重松さんの物語たちよりより切ないというかもう少しハードボイルドというか、うまく言葉で書けないけれどなんだかもう少し客観的とか俯瞰的に物語を見ているような感じがする。主人公たちに同化するというよりも、間近から見ているという感じ。なのでこちらのほうがよりドラマチックでものすごいこと起こったりもするのだけれど、なんだか冷静に眺めていられる、とか、そんな気がする。

表題である詳しく事情を知らないが一時居候していた女性を描いた「夕映え天使」、子供の別れの言葉が切ない「切符」、のどかな男の退職風景かと思えば恐ろしくSFだった「特別な一日」、寂しい北の漁師町で男達が出会う「琥珀」、夢の中の少し残酷なおとぎ話のような感じがする「丘の上の白い家」、そして作者自身の経験も含んで描かれたのか「樹海の人」。全6短編ともぜんぜんタッチも素材も違っていて面白く、一気に読んでしまった。

特に好きだったのは「特別な一日」。そういえば会社を退職したときってこんな感じの気持ちがしたよなぁとか思い出す。そんな男の悲哀の話かと思ってたら、一転して「え?」的な展開になって、やがてなるほどそういうことねと納得させられる話の進みようが非常におもしろかった。ちょっと伊坂さんの本思い出すなあ。あと、「切符」はやたらと国鉄のガードとかあの固い厚紙の切符を思い出させたし、「琥珀」は先日のNHKの朝ドラ「あまちゃん」のベンさんを思い出させた。そう、なんだか浅田さんの物語はなにか想い出をくすぐるものがある。そこに惹かれるのかな。

あとがきを読んで浅田さんがすごく面白いというか変わった経歴の持ち主とだということを初めて知った。敬愛する作家の謎を追って自衛隊に入隊したそう。なので最後の「樹海の人」はほんと本人の体験談なんじゃないかなと思ってしまう。子供の頃は裕福な家庭に育ったそうだけれど、両親が失踪したり、また母が引き取りにきたり、自衛隊退官後後も会社を興しては倒産させてしまったりもしていたそう。そういった人生の層というか浮沈というかが浅田さんの描く物語の世界観につながってるのは間違いないと思うけれど、しかしいろんな世界をみてきたんだろうな。想像できない。だから本をこうやって読ませてもらえる。いい物語を。

新潮文庫 2011

バリサク

20131116-1

NY在住のサルサシンガーYOKOさんのツアーが終わりました(正確にいうとまだ東京が残っているので終わってないのですが、東京は別のホーン隊なので僕らのツアーは終わり)。昨年はいけなかったので2011年以来2年ぶり(忘れもしない3/11から始まったのでした)。今回も楽しかったです。最近はぜんぜんラテン音楽とくにサルサはやる機会がなくなって寂しいのですが、こうやってがっつりセクションでできる機会があるとうれしいです。とくにツアーみたいになると、どんどん変化するし。

このYOKOさんのツアーでは僕はバリサク(バリトンサックス)なのです。持っていても持ち運ぶのも大変だし、レコーディングとか以外ではなかなかがっつり吹く機会のない楽器なので、まあ慣れてないのもあるし、チャンスがないのですが、今回4回ライブやらせてもらって、なんだか楽器を操るのがうまくなったというか楽器との親和性が上がった気がします。前まではもう少しこのバリサクにたいして苦手意識があったのですが、今回ツボにうまくはまれたというか、この楽器の吹き方が少しわかったように思いました。ソプラノサックスがそうであるように、バリサクもバリサク的吹き方をちゃんとしてやる(当たり前ですが)必要があるということなんですね。で、元々魅力的だなー思ってた以上に好きになりました。

その理由のひとつがバリサクの役目というかおいしさ(味ではなくて、出す音のかっこよさというかなんというか)なのですが、YOKOさんの譜面は仕掛けがいっぱいあるタイプで、ベースとユニゾンをやってみたり、非常におもしろいテンションノートを吹いたりするアレンジの妙があって、それがバリサク心をすごくくすぐるのです。やりながら「あー、これかっこいいハモリの音吹いてるなー」とか「ベースとユニゾン気持ちいいー」とか思ってたりしたのです。まあ、テナーも割と低い音担当したり、とくに割とモダンなジャズのビッグバンドだとすごくかっこいいハモリのセクションとか吹いたりすることもあるのですが、やっぱりバリサクだともう一段突っ込んでいるというか、おいしさが違うというか、吹いてる人にしかわかんないのですが(笑)

なんせとても楽しかったので、もっと機会をつくって吹きたいです。その時はもうバリサク専門で(テナーとかももっていく、とかはしんどいし)やりたいですね。そんな機会ないかなあ。ビッグバンドよりも、そうですね、4とか5管編成ぐらいで、というのが楽しいかなと思います。

しかし今回のツアーではハプニングもありました。ライブ初日の前日にリハーサルをみっちりやったのですが、そのときに「やっぱりバリサク重いなー」とか単純に思っていただけだったのですが、大阪でのライブが終わった後、ばりばり吹いたこともあってか身体が痛い(特に左側が)と感じたのですが、その日はそのまま帰宅。次の日高松へ移動するのに集合場所まで移動中もまだ痛いなーとか思っていたのです。が、高松つく頃になると息するのもままならないぐらい左胸あたりが痛くなってきて、オリーブホールにたどり着いたものの楽器を出すこともできずにへたりこんでしまって、そのまま病院に連れて行ってもらいました。

もしかして気胸とか肋骨が折れてたりするんじゃないか?と勘ぐりたくなるぐらい痛かった(病院での問診票にもロクに字を書けないぐらいだった)ので、日曜だったけれどいろいろ急いでもらってレントゲンとCTを撮ったのですが、結局のところ肺や骨には異常なし(ほっ)。でも自分の身体の内側見るのってとても気持ち悪いというか緊張しますね。へんな陰映ってたらどないしよかとか思いますし。

なので、たぶん大阪でのライブの日に吹きすぎた&構え方がダメだった(重かったので横向きによっこらせと担ぐみたいにして吹いていた)んだろうなーということにして(結局そうだったかどうなのかは分からずじまい、これ書いている時点ではだいぶ治ってるのですが)、高松のライブはなんとか吹くことはできそうだったので、スタンドを調節して楽器をぶら下げずに演奏しました。姿勢ちょっとしんどかったですけれど、断然楽でした。なので、昨日今日のライブでもスタンドにおいて吹きました。2度とあんな痛いの嫌ですしね。やっぱり身体も筋力が落ちてるのもあるでしょうし、頸椎痛めたりしたら目も当てられませんからね。気をつけねば。ほんと肝を冷やしたハプニングでした。何もなかったからこうやって笑って書いてますがw

いやはや、こんなことも含めて楽しいツアーでした。

みなさんお疲れさまでした!

 

20131116-2

今回のホーンセクション

YOKO

YOKO

とくちゃん

とくちゃん

岡本くん、安藤さん、macomoさん、Raviちゃん

岡本くん、安藤さん、macomoさん、Raviちゃん

ヤマダさんとちえみさん

ヤマダさんとちえみさん

Home > Archives > 2013-11

Search

Return to page top

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。