浅田次郎 – プリズンホテル【2】秋

2作目。任侠団体専用の宿として別名「プリズンホテル」と呼ばれる奥湯元あじさいホテル。ちょっとした偶然から今回投宿することになったのは、警視庁の慰安旅行団体だった。同宿するのは桜会の大曽根一家、往年のスター真野みすず、アイドル崩れの歌手とそのヒモのようなマネージャー、そして実は指名手配されている男。もちろんホテルオーナー仲蔵の甥である作家・木戸孝之介もなぜか秘書兼愛人清子の娘・美加を伴ってやってきた。さぁ、ヤクザとマル暴が同居する一夜、どういう騒ぎが起るのか?

分かりやすいといえば分かりやすいネタかもしれないけれど、今回もとてもいい感じ。普段は公僕とその敵対組織。宴会が隣同士だったことからホテルサイドはすごく警戒するが、その警戒を吹っ飛ばすかのような騒ぎ。でもどちらも実は社会の隅においやられた男たち。ちょっとした諍いから始まるが、最後はなぜか傷をなめ合う仲間になったり。ほんとどじくさい男達が可愛くなってくるから不思議。

でも一番かわいいのは美加ちゃんかな、けなげだわ。

集英社文庫 2001

コメントを残す