山本幸久 – 笑う招き猫


初めて読む山本さん。ラーメンズの片桐さんの解説によると、彼はその昔編集者をしていたそう。その仕事をしながら書いて、小説すばる新人賞を穫ったのがこの作品だとか。

まだまだ駆け出しの女性漫才コンビ「アカコとヒトミ」が主人公のお話、これすごく面白い!彼女たちの漫才に対する情熱とか、小さな事務所内でのこまかな諍い、風変わりな周りの芸人たち、よくわからないけど豪快な社長と謎の美女、巨漢なのにすごく細かいマネージャーなどなど、魅力的なキャラも満載でとても楽しく読めるし、ありありと想像できる事務所や街や若手漫才界の姿など描写も優れているのだとおもうけれど、やっぱり主人公2人の等身大の姿がくっきり目に浮かぶのがいいんだと思う。きっとしっかりした下地があるんだろうなーとおもってたら片桐さん曰く、これは駆け出しのころのラーメンズじゃないか?ということらしいw 確かにそんな感じもする。

ある日道ばたでたくさんの招き猫を売っていたアカコとたまたまそこを通りかかったヒトミ。その不思議な光景とアカコが適当に歌う歌にヒトミが巻き込まれてしまったことから2人の関係は始まり、同じキャンパスで時間をすごし、そしてまた別の道を歩むことになるのだが、OLをしていたヒトミの前に突然アカコが現れ「漫才をしよう」といったのが始まり。売れない人気のないこのコンビが少しずつ前へ進んで行く。

とにかくアカコとヒトミのキャラクターが素晴らしくて、すぐに入り込んでしまう。どこが好きかといわれると、まずアカコはその歌。本なのでメロディーはついてないのだけれど、あちこちででてくる(適当な歌詞の)歌がとてもいい感じ。歌詞自体も(即興で歌ってるという設定だが)よくできているし、何より楽しい。そしてヒトミはどこでもチャリでいくという体力バカな感じのところ。でも2人とも愛嬌あるのよね。丸っちいのとノッポというのはコンビにおける永遠の黄金パターンなのかもね。ブルースブラザーズとか阪神巨人とかねw

この本自体もすごくよくて、明日から私も頑張ろう!みたいな気分になれる。そしてこの2人がどうなっていくのか、もっと知りたいのだけれど、つづきあるのかなぁ。

集英社文庫 2006

“山本幸久 – 笑う招き猫” への1件の返信

コメントを残す