Home > Archives > 2015-06

2015-06

江國香織 – やわらかなレタス

江國さんのエッセイ。ほんとなんでもない日常が江國さんのフィルターで素敵なものに変化させられる。彼女の想像力の中であらゆるものが不思議になったり、なんでもないものがとても面白くなったり、いつもは見えていないものに見えたり。ちょっとしたことに、本当にちょっとしたことにひっかかったりするのが面白く、それらが江國さんを作り上げてるんだろうなとおもう。

全体にとても幸せな時間が描かれていて、ちょっと羨ましくなったり嫉妬したりだけれど、お話とちがってエッセイは江國さんの人間の部分を垣間見られるので、これはこれでいい感じ。

たべものがどれもおいしそう。しかしこんなに果物食べる人だとはしらなかった。しかもこんなに真剣に食べる人も珍しいんじゃないかな。

文集文庫 2013

Amazonで詳細を見る
楽天ブックスで詳細を見る

中林憲昭氏追悼ライブ

20150622

ライブに集ったミュージシャンの面々(中島氏は不在)  photo by IKEDA.

一昨日、昨年亡くなってしまった中林さんを追悼するライブがありました。中林さんと関わってきたミュージシャンがすごく久しぶりにたくさん集まり、みんなで彼の曲を演奏しました。お客さんもたくさん集まっていただけて嬉しかったです。こういう場に集まると、まだ学生でろくすっぽ何もできなかった頃にみんなにとても可愛がってもらってなと思い出したりして、いまも相変わらずいつまでたってもヒヨッコ感覚が抜けないなと自分で笑ってしまいます。

演奏したり、みんなが演っているのを聴きながら、こうやって中林さんの曲を演奏するのはいったいいつ振りだろう、と思い出そうとしたけれど、ぜんぜん思い出せませんでした。もちろん闘病中に何度か演奏もしましたが、それではなくてこういうバンドでやるのって、もしかしたら10年ぐらい前かもしれません。彼が倒れる前のことになってしまいました。なのでライブのこととかは忘れてしまった(いまでも覚えているのはWooden Pipeに入る直前にバンドのライブを見にいったとき、なんか凄くて驚いたこと。そして中林さんはぼくが最初に出会ったロッカーだったこと)けれど、曲はどれもよく覚えている。どの曲もすごく好きだから。たまに、よりは多く聴いたりもしますし。

当夜はそんな曲たちを平山修造さんや国次さん、島田篤さん(立って歌うの初めて見た)、飛び入りでカルロス菅野さん(!)らが歌ったのですが、(へんな書き方になるけれど、中林さんが歌ってるのではないのに)なんの違和感もなく、ぜんぜん違うのに、ちゃんと同じ曲に聞こえました。もちろん曲や詞のもつ力というのもあるんでしょうけれど、この夜は中林さんを思うみんなの想いの力、のような気がしました。難しい人だった(はず)ので、バンドやミュージシャンや関係者ともよくぶつかったり、しょうもないことで行き違ったりしたこともあっただろうけれど、この夜はそんなことはどこかにおいて、素直に彼の作品をみんなに伝えて、残していこう、と、そういう気持ちがすべてを洗い流したような気がします。

ほんとうに、いい夜でした。

ライブの様子がYoutubeにすべて掲載されています。ぜひぜひ >> こちら

ほんとどれもいい曲、いい歌ばかりです。でもこうやって本人がいなくなったときに、だれも演奏しなくなったら、その曲たちは死んでしまうんだろうか?音源として残っていたとしても、その存在をだれも知らなくて埋もれてしまったら、やはりないのと同じことになってしまうのだろうか?などと考えてこんでしまいました。毎日湯水のごとく音楽や、音楽のようなフリをしたものが量産され、消費され、忘れられていく中で、ぼくはいったい何を演奏したらいいのか、ふと、わからなくなってしまいそうで怖いです。

曲そのものではなくとも、その曲から与えられた感動やショックやイメージ、そんなものを力にまた違うものを生み出していくということもできるけれど、それぞれレコーディングというすごくクリエイティブな場で、時間と労力をかけて、いろいろ試行錯誤して作られ練り上げられた楽曲たちが忘れ去られていくというのは、堪らなく寂しいことです。それは仕方ないんだろうか、と思ったり、そういうものだからそれでいいんだ、と思ったり、複雑な気分です。ぼくにとってはまだこういう経験は中林さんに対してだけですが、これから増えていったりするんだろうかと思うと、軽く恐怖を感じます。だからこそ自分は自分のことをちゃんとやるべき、という、とても単純明快な答えが見えてくるのですが。

何を書いているのかよくわからなくなってきました。こういう中途半端な文章をブログに載っけてしまうのはあんまりいいことじゃないなあとは思うのですが、中途半端にしかかけないのは自分の未熟さからであるし、いまは何かいまの気持ち(状態?)を残しておきたいのでこのまま掲載します。

とにかく、いまはぐずぐずと中林さんの作品を聴いていたいです。また、演奏できる機会があればいいな、と思います。そして、どれか一曲でも自分で演奏できるものを作って、伝えられたらと、思っています。

中林さんの作品はこのあたりで

ライブ盤2タイトル

数年前に長野は松本で「信州JAZZ民」というグループが立ち上がり、それ以来各地からミュージシャンを招いて松本を中心に信州のジャズシーンを盛り上げようとしています。ぼくもいままでに2度コンサートをさせていただきました。どちらもアットホームだけれども真剣な場で、少し緊張しながら、でも楽しんで演奏できたことをよく憶えています。

その信州JAZZ民が、これまで企画したライブから5つの音源をライブアルバムとして発表することになりました。そして何故そうなったのかはさておき、その5タイトル中に僕が出演したライブが2つとも含まれることになっています。恥ずかしいやら嬉しいやらなのですが、高音質で録音されたこのライブ音源(僕のものは、ライブをしたチクマ楽器のホールの音そのまんまです)をこうしてまた形にしてくれた信州JAZZ民のみなさんにほんと頭が下がります。結構大変だったそうで。

そのアルバムはこれらです。両方ともライブをそのまま収録した2枚組です。

SJM-JLIM 150201 ■ Jazzlive in Matsumoto 1

[DISK 1]
1. I’ll Remember April
2. Moanin’
3. Moon River
4. ねこさんポ
5. Night In Tunisia

[DISK 2]
1. Impressions
2. りんご追分
3. フイルム
4. Spain
5. St. Thomas

[メンバー] 武井努Sax、牧知恵子Pf、萬恭隆B、表直志Ds
[収録] 松本 チクマ楽器 2012/11/24

SJM-JLIM 150202 ■ Jazzlive in Matsumoto 2

[DISK 1]
1. All The Things You Are
2. 大きな桜の樹の下で
3. Tears Stood In Your Eyes
4. Fables Of Faubus

[DISK 2]
1. Uran’s Song
2. もん7
3. フイルム
4. ミッドナイトコール
5. Hush A Bye

[メンバー] 武井努Sax、牧知恵子Pf、萬恭隆B、則武諒Ds
[収録] 松本 チクマ楽器 2014/4/19

あと3タイトルはそれぞれ「Jazzlive in Matumoto 3 / 藤井美智(Tp)4」「Jazzlive in Matumoto 4 / 藤井美智(Tp)4」「Jazzlive in Matumoto 5 / 俵山昌之(B)5」です。詳細は信州JAZZ民のサイトで見てくださいね。

これらのアルバムは今のところ信州JAZZ民のサイトから通販いただくか、僕から直接購入していただくか(持ち歩きますね。買ってくれるとうれしい)しかないのですが、今後販路が広がっていくのではないかと思います。また今回はCDという形(正確にはCDR)になってますが、本来の狙いはいま流行りかけのハイレゾ音源での配信だそうで、それが実現する日をこれまた楽しみにしている次第です。

愛川晶 – 七週間の闇

愛川さんはだいぶ久しぶり、というか「六月六日生まれの天使」しか読んだことがない。ので、あまり記憶にないのだけれど、その本も少しオカルトチックだったような感じがしたが、このお話も不思議な、というか人類普遍の謎である”生と死”がひとつのテーマになっていて、その中でも輪廻がキーワードになっている。

ある日大きな歓喜仏に抱かれるようにして首をつって死んでいる女性がいた。彼女は臨死体験者であり、かねてからその方面の著書もある人物であり、病気もあって間もなく自分は死ぬことを知っていたようだった。警察はこれを自殺と断定したが、本当はどうだったのだろうか?夫である画家と、後妻にはいった女。その間に生まれた子供の秘密。

時系列をすこしずつ行ったり来たりして、謎の核心に迫っていく書き方も、テーマも、全体の感じも前に読んだのと違ってすごく面白く感じられた。前はタイミング悪かったのかな。なによりもオカルトぽいところ(ここでは仏教や密教がモチーフにされている)が怖くて、でもそれは実際に僕たちの身にも降りかかるであろうことで、たんにお話として読むというより、もっとなにか諭されているような気になってしまうお話だった。

チベットの「死者の書」って読んでみたいなあ(たぶん章ごとに引用されてるのがそれよね、たぶん)、でも、ちょっとこわい。

タイトルで最初に気づくべきだったなあ。7週間ということは49日だもん、そういう系の話かってわかるよね。うまいタイトル。

文集文庫 2010

Amazonで詳細を見る
楽天ブックスで詳細を見る

上橋菜穂子 – 夢の守り人

上橋さんの守り人シリーズ三作目。人の夢を糧として育つ異世界にある花。そしてその花に誘われ次々に夢見たまま起きなくなってしまう人々。彼らは現実から逃避するために夢見ることを選んだのだった。そんな花に新ヨゴ皇国の第一妃、そして第一王子のチャグムまでが囚われてしまう。そして同じく幼なじみが囚われてしまった呪術師のたまごタンダは彼女を助けに行くのだが、逆に囚われその花を守るものに変化させられてしまう。

そんなタンダを救うべく立ち上がるバルサとタンダの師匠である呪術師トロガイ。ひょんなことからバルサが救った歌うたいユグノが実はこの一連の事件に深く関わっていることがわかる。この男の招待とは?明かされるトロガイの過去。バルサとトロガイはタンダやその他のものたちを救えるのか?

いままでの二作品も現実世界と並行して存在する異世界に関わる部分も描かれてきたが、今回はかなりどっぷり描かれているので、想像力がいるというか、ファンタジーだけれどファンタジーのなかにまたファンタジーがという感じがする。そういう現実でない世界にさらにその現実でない世界を混ぜ入れて、混乱しないように描けている上橋さんさすがだなぁ。

今回のテーマはほんと誰もが一度は思うような、現実逃避してこのまま眠っていたい、という願望。そして、でもそれは願うべきではなく、どんなに辛くてもちゃんと生きて進んでいくべきなんだ、という現実に対する生き方。「もうこのまま全て忘れて寝てた方が楽」なんて思うことよくあるのだけれど、そうしたって何も解決しない。ちょっと先に延びるだけだし大概自体は悪化する。勇気を持って前に進め、と上橋さんに言われた気がする。

養老孟司氏の解説がとてもいい。ファンタジーとは何か、ということにとても簡潔に、潔く書いてくれてる。養老さんの本も読んでみたくなった。

新潮文庫 2008

Amazonで詳細を見る
楽天ブックスで詳細を見る

Home > Archives > 2015-06

Search

Return to page top

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。