宮部みゆき – 我らが隣人の犯罪

宮部さんを読むのは久しぶりのような気がする。最近大作が多いので、一度手に取るとなかなか終わらない(それが楽しいのだけれど)ので読むのに気合いるなーというのが主な理由なのだけれど、彼女の作品はどれを読んでも面白いので長さはあんまり関係ないのだけれど、このところはさささっと短いのを読みたい気分なので。

これは割と初期に出版された短編集。解説の北村さんが絶賛しているけれど、たしかにこれは短編だけれど長編なみの(重いという意味ではなく)要素がつまった作品だと思う。ほんと短いお話が5つ、表題作でもある隣に住む女性が飼う犬の鳴き声がうるさくてノイローゼになりそうな一家がその犬を誘拐する計画を立てる「我らが隣人の犯罪」、両親の留守中にそこの父親の子供だという幼子を連れて家に乗り込んでくる若い女「この子誰の子」、ある小学生のクラスが夏の自由研究にサボテンの花の研究を申し出たのだがそのクラス一同の奇怪な行動の理由を描く「サボテンの花」、めでたい席のめでたいはずの電報がその陰に隠された犯罪を暴く「祝・殺人」、そしてある困難で奇怪な理由により完全自殺を望む男「気分は自殺志願」。

どれも短いのにその話のなかにミステリーやトリックがあり、人間模様があり、時間の経過があり、奥行きがどれもあって短編を読んでいるような気にはならずにどっぷりその物語たちにのめり込んでしまえる。

表題作もいいけれど、やっぱり、最初はなんだこれ?とおもうけれど最後にホロリとさせられてしまう「この子誰の子」と、やはりこういうことあったら本当に素敵だろうなあとおもう「サボテンの花」(財津和夫の歌とは関係ないけれど、タイトル同じってだけでちょっと惹かれるw)が良かった。

宮部さんのなかでは軽い目で、洒落てる感じする。ぜひ読んでみてほしい作品。

文集文庫 1993

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