乃南アサ – 水の中のふたつの月

乃南さんの作品は久しぶり。いつもじわっとくる人間の暗闇とかなどに足を引っ張られるような感覚がして、ちょっと怖いのだけれど、それでも魅力的で読んでしまう乃南さん。

小学校の時の仲良し三人組が獣数年ぶりに出会う。この少女たち小学生のときに救おうとしたいじめられていた男の子。彼女たちはそのために秘密を共有し合った。でも久しぶりの再会で、封印していたその時の記憶が少しずつ蘇る。そこにはある約束があった。

妙齢の女性3人と、そのうちの一人の彼氏。その彼が昔3人が好意を持った男の子に似ていたら?そしてそこに重なってくる昔のある「約束」。ともに秘密をもちあう3人、そして彼氏。そしてそこに重なるように、昔あった出来事が紐解かれてゆき、その「約束」が明らかになっていく。

女性のキャラ設定が少しおかしな感じするあたりから、少し変わった感じするなあと思いつつ読み進むと。じわじわじわーーーっと恐ろしい話だったり。女性(もしくは少女)の一人称が入れ替わり、過去と現在が交錯し、やがて過去が立体的に甦ってくる感じ。コンパクトにまとめることもできるんだろうけれど、それを細かな描写や心理描写などをいれながら構築していって、それによって不気味さ、というか不自然さというか、を醸し出すのがすごく上手いなあ、と感心。

女性の結束って、怖いなあ。

文集文庫 2003

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