栗本薫 – 天の陽炎 大正浪漫伝説

tennokagerou

栗本さんはグイン・サーガ以外ほとんど読んできてないのだけれど、こうやって本を開くと、ああ、栗本さんだなあと思う。ある意味いい意味で冗長な部分が多いというか、わざとしつこく描写している感じとか。

時代は大正、文明が開花して、華族たちが優雅に暮らしていた頃。その美貌を見初められてある子爵と結婚した主人公・真珠子だったが、夫は彼女の美しさにしかどうやら興味がないようで、いろいろ美しい着物を着せて社交界を連れ歩くための着せ替え人形としか扱ってくれなかった。毎日が退屈で仕方ないある時、満州で大きな事業を起こそうと野望を抱く男・天童壮介と出会う。彼は夫とは真反対の粗暴だが魅力的な男だった。。。

荒くれ男が華族の若奥さんから、何から何までを蹂躙していくお話です(笑)。女性が書いた、女性の視点でのハーレクインみたいな感じになるのかなあ。やたらと色っぽいわけではないけれど、退屈な毎日に突然の刺激がやってきて、それにどこかで気付きながらも堕ちていく女性を描いたお話。いまはそんなことほぼないだろうけれど、女性が手篭めにされて、およよよーってなっていくのを、栗本さんがきっとニヤリとしながら、でもすごく真剣に描いたんだろうなーという感じ。

主人公がいろいろ持って回った考え方をしたり、同じことをぐるぐる考え続けたりして、ずーっと同じシーンがつづくようなところが(違うかもしれないけど)夏目漱石の「草枕」に感じ似てるかも。「草枕」は同じことを矢鱈と違う言葉で書き連ねているのでまだ読み終えてない(途中で投げ出したともいう)んだけど^^;

なんというか、最後まで読まないと何なんだろうこれ、となってしまいそう。舞台にしたら面白いかも。

角川文庫 2007

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