レッドタートル ある島の物語

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先月頭に東京で開かれていた「ジブリ大博覧会」をみにいったときに、この映画の宣伝のコーナーがあって、ジブリでも外国人監督の作品を扱うようになるのか、変わっていくのね思い、公開されてわりとすぐに観に行きました。ある無人島に流された男の人の話で、全編セリフがないらしい、ということだけ聞いて見に行ったのだけれど、、、とても素晴らしい作品でした。

この映画、というかこの作品(なぜかこう言ったほうがしっくりくる)はやはりアニメーションでしか作りえないもので、ストーリーはいたってシンプルで、言葉にしてしまうとほんのちょっとで終わってしまうのだけれど、それを隅々まで神経をいきわたらせて描かれた絵、いい意味で没個性なキャラクターたち、まったくないセリフ、で、見事に描ききっていると思いました。ドラマッチック過ぎず、かといって単々としているわけでもなく、静かに力強くながれていく映像から読み取るストーリーにどっぷり浸れた80分でした。

博覧会でもコンテや下書きみたいなのが飾られていましたが、たぶん鉛筆で描かれたそれらはまことに見事で、あるものはまるで墨絵のようだったし、あるものはティズニーのような線だったり。これらが元になって、きっとアニメーション自体もぜんぶ手で描いたんじゃないかなと思える絵たち、そしてその結果の映像でした。

いままでのジブリ作品とはぜんぜん違うテイストだけれど、なんとなくですがこれはやっぱりジブリ作品のように思えます。いきいきとしたキャラクターが活躍するようなものじゃないけれど、アニメーションの力を最大限につかって、体験したことないような世界を見せ、派手ではなくとも観客の心に何かを残す。そして何よりもとても丁寧に手をかけて作られた作品だなと実感できる。そんなところがジブリ映画に通じる何かを感じさせるのかもしれません。

ほんといい作品でした。静かに観たい作品です。

PS
後半とても怖いシーンがありますが、それをまた正直に(しかも驚くほど丁寧に)描いてるのがすごいと思いました。あの一連のシーンは「コナン」を連想した人も多かったんじゃないかな。

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