リフェイス考

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昨日長年使ってたマウスピース(リンクのラバータイプ)とずっとほったらかしにしていたマウスピース(ずっと昔にギターの内橋さんに交換してもらったリンクメタル)をリフェイスにだしていたのが、完成して戻ってきました。

両者とも一度試しにやってもらったのですがそのときは、もうすこし感じをかえてもらいたいとおもったのでリトライすることにしたのですが、今回はばっちりでした。嬉しい。いい仕事してもらいました。

メタルのほうはまだ合うリードがないので完全に試せてませんが、ラバーのほうは、吹き心地よく、エネルギーの伝導がよく(手に伝わる楽器の振動が気持ちいい)、何より音色が好みで、以前に比べてすごく変化したのですが、いい意味でフレッシュになりました。いい音色と吹きやすさの絶妙のバランスです。リフェイサーはSERICさんです。
SERIC マウスピースリフェイス工房〜 削屋本舗 〜
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昨今楽器の重量化にともないマウスピースもより鳴る(音のパワーの出やすい)タイプのものが主流になってきつつあるように思いますが、ぼくは古いタイプの楽器を好んで吹く人間なので、マウスピースについてはまずは音色、そして吹き心地や吹きやすさを求め、そこまでパワーは求めない(そのへんは人間が調整するとこ)し、パワーというか鳴りやすさを求めると音色をすこし損なう方向にいくと思っているので、普段から古いリンクタイプのものを好んで使っています。

新しく作られるマウスピースで好みに合うものがあればバッチリなのですが、なかなか出会わないため、気に入ってるものを長く使うことになり、それらはすこしずつ磨耗していきます。毎日吹いていると気づかないですが、実はすこしずつ吹奏感は変化していってます。もちろん馴染んで良い変化も生むときもありますが、年月が経つと部分的に削れたり、テーブルが歪んだりして、それが吹きにくさの原因になっていくようです。

そこで買い替えもしくはリフェイスの出番となるわけですが、リフェイスはたぶん単純に考えるとメーカーが理想とする形に戻してやればいいじゃん、ということになりますが、奏者の好みがあるのでそう簡単にはいかず、相談しながら(理想的には対面してやれるといい)ゴールを目指す必要があります。

しかし吹き心地や音色など主観的なことはなかなか言葉で伝えにくい(奏者・リフェイサーとも共通の感覚や言葉で捉えにくい)です。なのでリフェイスを少しずつやりながら、吹いてはリトライを繰り返し、奏者とリフェイサーの間で好みや感覚や言葉で説明するときの加減なんかを理解しあう必要があります。またトライするうちにリフェイサーがより奏者に好ましいと思える傾向を発見したりできるようなのです。そして今回はそれがバッチリいきました。

今回感じたのはリフェイスをうまくいかせるためには、自分の理想をなんとかしてリフェイサーに伝える努力を惜しまないことが大事、ということです。当たり前なのですけどね。単に”モノの修繕を頼む”という感覚じゃなく、”お医者さんに病気を治してもらう”という感覚で臨んだほうがいいんじゃないかと思います。なんとか治してもらいたくて、痛みを理解してもらいたくて言葉を重ねるじゃないですか。

リフェイスは無限にできるわけじゃない(削っていくわけですから)ので、大事なマウスピースを削るのはすごく勇気のいる判断ですが、丁寧にリフェイスしてもらえるなら(そこには依頼側の努力も多少必要ですが)、磨耗してお蔵入りしてしまうようなマウスピースや、最近なんか吹きにくくなったなーと思うときには相談してみるのがいいと思います。

ただリフェイスはもちろん最終的にはリフェイサーの主観的な部分が大きいので、リフェイスを依頼するときには、そのリフェイサーさんの好みを知る必要もあると思います。

以上愚考でした。

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