江國香織 – 泣く大人

nakuotona

江國さんのエッセイ。四つのパートからなる。江國さんの日常の身の回りがみえてくるような「雨が世界を冷やす夜」、彼女の魅力的な男友達(恋人ではない)の話「男友達の部屋」、相変わらず江國さんらしい視点だなーと思わされる「ほしいもののこと」、そして紹介された本をどれもよみたくなってしまう「日ざしの匂いの、仄暗い場所」

江國さんが紡ぐ物語もそうだけれど、エッセイから彼女の一種の湿っぽさとか、仄暗さとか、そういう肌触りや匂いが感じられるのが好きで、なのでそこで描かれるものものからも同じ様なイメージを感じる。すこしフィルターを通して写した写真のように。鮮明ではなくて、青や緑がかっている感じ。そんな感触が好きなので、いつまでも彼女が書くものは読めてしまう。決して親近感を感じるっていう感じじゃないのだけれど、なんだろう、一種のあこがれかな。

どれもこれもが魅力的で、かつ、そうでないものさえ魅力的に感じさせてしまうその視点、視線に感じ入ってしまう。素敵。そうとしか言えない。

角川文庫 2004

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