田中啓文 – イルカは笑う

irukawarau

かわいい表紙が気になって手に取って見たら田中さんの短編集だった。

宇宙に昭和のSFアニメなどのメカを目玉にしたテーマパークがある未来、手塚治虫の霊が地球の危機を囁く「ガラスの地球を救え」、表題にもなっている最後の人類にイルカが会いに来る「イルカは笑う」、秀吉が信長に進呈した丸薬は体が巨大化する妙薬だった「本能寺の大変」、などなど14編。どれも田中さんらしくて好き。

ゾンビが蔓延した世界で料理人が食にこだわる「屍者の定食」がめちゃ面白い。こういうの好きだなあ。B級SF映画にありそうなネタの「集団自殺と百二十億頭のイノシシ」もいい、くだらない(失礼!)な感じがいいなあ。同じような感じで「あるいはマンボウでいっぱいの海」もいいなあ。

こういうのばっかりかと思えば、「あの言葉」や「歌姫のくちびる」のように一転シリアスなストーリーもあったり、落語のネタぽいのもあったり、田中さんの百貨店みたいな本でとても楽しめた。おもしろい!

河出文庫 2015

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