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いしいしんじ – ポーの話

なんのかんのでいろいろ読んできているいしいさん。この物語はだいぶ時間がかかってしまった。うなぎ女と呼ばれる川にすむ黒い女たちの間に生まれたポー。彼は手足の指の間に水かきがあって人とはちょっと違うのかも。大事に育てられたポーは恐ろしいほどに純粋無垢。裕福な人々が住む街と貧乏な人が住む街の間を流れる川に住み、泥の中を自由に泳ぎながら、川に架かるたくさんの橋を眺めたり、陸の音を聞いたり、泥の底に沈むものを拾い上げたり、そんな日々を送っていた。たまには陸にも上がって、何人かの変わった人物にも出会い、無垢な彼はいろんな人生の物事を知っていく。悪とは?本当に大事なものとは?

そんな中大雨が降って街は水浸しになり、それを機会に母なるうなぎ女たちから離れてポーは下流へと旅立つ。そしてまた流れた先で、狩をする老人と犬と少年に出会い、鳩レースに勤しむ参拝埋め立ての夫婦に出会い、人生について、いろいろ教えられる。そしてやがて彼は海へと出る。

細々としたポーにまつわるエビソードもいしいさんらしくて、怖かったり、何気に恐ろしかったり。するものもあるけれど、いしいさんの手にかかると何もかもかも少し可愛らしく感じるから不思議。ポーの半生(なんだろうか?)がうなぎの一生になぞられて描かれるのも面白く、そういう過程を経て、たいせつなものとは何かを教えてくれるように思う。あからさまじゃなくて、少し遠慮がち、というか、静かに。

ひとつひとつはちいさくても、それらは実はおおきな流れのなかのひとつであって、その大きさを感じた時に、ぞわわと迫ってくる表現しにくい感覚が素敵。この物語を読んでいても、まだお会いしたこともないのに、いしいさんが目の前で、もしかしたら寝そべりながら、いや、きちんと正座をして、話してくれているような気がしてしまう。ああ、感想うまく書けないや。

2005 新潮文庫

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