伊坂幸太郎 – 首折り男のための協奏曲

久しぶりに伊坂さん。というか、前に読んでいたのだけれどレビュー書いていなかったので、また読んだ。やっぱり面白いし、驚きがある。

首折り男とよばれる殺人を請け負う仕事人が主人公で描かれる「首折り男の周辺」という短編から連なる、といっても連作として書かれたのではなく、伊坂さんが違う時期にいろんな依頼に対してバラバラに書かれたものだろうだけれど、まとめるにあたって加筆修正した部分もあって”首折り男”、”少年のいじめ”、”大人との約束”、”時空のねじれ”などによって繋がるようになっている(福永さんの解説より)。もちろんどの短編もそれ自体面白いのだけれど、直接ではないにしろ、各短編が少しずつ繋がっているように見えるのもまた楽しい。

どの短編も面白いなあとおもうけれど、特に好きなのは年老いた夫婦(夫は病床)の妻が自分が若い時に4日間だけ恋に落ちた相手を探してくれと黒澤(伊坂作品によく出てくる彼ね)に頼む「僕の舟」、最後にあああって気持ちがあったかくなる。そしてチャップリンの映画のあるシーンになぞらえて(映画のことがたびたび話題になるだけだけど)、トリックについても、そして短編全体についても同じ手法で描かれる「月曜日から逃げろ」。いやー、ほんとよく考えてるなー(それが暗にじゃなくて、わかりやすく)と感心させられる、そして面白い!

同年代の作家さんの作品って、なんだろう、全部言わなくても”感じ”が伝わってくることが多くて(時代背景とか、流行りとか、使う言葉とか。音楽についても!)読んでいてストレスもないし楽しい。伊坂さんの作品は繰り返し読んでも発見あって楽しいなあ。次は何読もうかな。

新潮文庫 2016

楽天市場にて詳細を見る
Amazonで詳細を見る

カテゴリー

コメントを残す