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三浦しおん – 星間商事株式会社社史編纂室

seikanshoji

星間〜というタイトルをみて、三浦さんと宇宙の話か?なんだこりゃ、とか勝手な想像して手に取ったらある会社の社史編纂室とその人間模様のお話だった。これはこれで面白そう。一癖も二癖もある人間があつまる、車内では窓際扱いされている星間商事株式会社の社史編纂室。社長の鳴り物で社史をつくることになり組織されたが、いるのかいないのかわからない幽霊部長に、やる気あるのかどうかわからない遅刻常習犯の課長、女の子にしか興味のなさそうな先輩、ダイナイトボディの後輩、そんな彼らに囲まれた主人公・幸代は真面目一筋、でも彼女の趣味はBLの同人誌製作だった。

そんな彼らが遅々としながらも進める社史編纂。しかしそれを進めていくうちに、高度成長期のどさくさのころの会社の秘密・闇に気づく。難航する取材、どこからともなくやってくる横槍。そんなてんやわんやのなか、幸代は妙齢の同人誌仲間の離脱、同棲している不思議な彼とのいざこざなど彼女の人生にも風雲がやってくる。

三浦さんのお話にでてくる人間たちはどこか滑稽で、ダメ人間でも許せちゃったりする人もいれば、取りつくシマもないほど冷徹な人もでてきたり、でもみんな人間だな、って感じがする。人間くさいというか。どちらかというとそれなりにいい人というか。だから物語がシリアスになりすぎないような、そういうところが読んでいて心地いい。

この編纂室の奮闘と、社史がどうなったかという筋ももちろん面白いけど、この本で興味そそられるところは同人誌製作のほう。コミケに出店するやりかたやら、同人誌をつくるノウハウ、印刷のこと、中身のことなどなど、結構詳しく描かれていて(もちろん幸代が書いた文章も散りばめられてるし)、三浦さん詳しいんだなーと思ってたら、実は三浦さんその世界では右に出る物いないほどの婦女子だそう。へーー!知らなかった。いままで何冊か読んできてそんな風に感じたことなかったし。やおいに興味あるわけじゃないけど^^;

昔アニメや漫画が好きだったので、この感じちょっとわかるんだなあ。オタクという言葉もまだなかった頃もそういう趣味のひとはたくさんいて、共通するある”匂い”みたいなんがあったんだよなあ。雰囲気というか。ぼくもその一人だったはず。だからこのコミケの雰囲気とか(実際行ったことはないけど^^;)、同じ趣味の人が集まった時の感じとか、なんかよくわかって、うんうんと思ってしまったり。懐かしいな。

まあ、そういうのも、編纂室の面々の活躍も含めて、面白いお話だった。ほのぼの。

ちくま文庫 2014

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結城昌治 – 白昼堂々

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初めて手に取った結城さん。もちろん知らない作家さんだったのだが、別で読んでる(まだ読み終えてない)伊坂さんの本で紹介されていた(伊坂さんが好きって書いてた)ので、伊坂さんに興味ありありなので、いったいどんな本が面白いとおもうんだろうと思って手に取ってみた。

時は唱和40年代ごろ、高度成長期に入った時代。エネルギーも石炭から石油へのような時代。炭鉱であぶれてしまったものたちがスリを生業に細々と凌いでいたのだが、昔の仲間にそそのかされて窃盗団を結成し、全国各地のデパートに出没し店頭から組織的に物を盗んでいくという話。お話はその窃盗団のやりくちと、それを追う刑事たちのいたちごっこ。テンポは遅いけれど、なんだか憎めない感じの窃盗団(メンバーが個性的で名前も過去もおもしろい)とすこし抜けた感じの刑事たち(本人たちはいたって真剣)の丁々発止がとても楽しい。微笑ましいって感じかも。前途洋々だった窃盗団もやがてそのやり口がばれて、ちょいちょい捕まる仲間の失敗もあったりして、形成は不利になっていく。そこで最後に大私語ををして、、、と大きな窃盗を計画するが、それはいかにいかに。。。。

なんかのんびりしたハリウッド映画を見てるみたいな感じ。それは結城さんの筆によるところが大きいだろうけれど、描かれる時代もいまよりはずいぶんのんびりしてたというのもあるかな。ちょっと前に読んだ宮部さんの闇語りシリーズの中でもそういうスリや盗人の逸話あったのでちょっとそれも思い出したり。あれは明治の話だったけど。なんせ現代社会のようにギチギチしてなくて、おおらかで、悪人も憎みきれないし、お上もすこし頭がやわらかい。

憎めない人たちがいっぱいでてきたり、シリアスなシーンにもユーモアあったり、なるほど伊坂さんこういうの好きそうだなあとか思ったり。おもしろかった。

光文社文庫 2008

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朱川湊人 – かたみ歌

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はじめて読む朱川さん。本屋さんの棚で表紙の絵のなんともいえないレトロというか懐かしい感じに魅せられて手に取った。

昭和40年代半ばの東京の、都心からそう遠くない下町にある、アカシア商店街という古びた商店街ととその周りの街で起こる、少し不思議な話たち。古本屋、レコード屋、スナックなどが立ち並び、ザ・タイガースなどが流れる、昔はもう少し賑わった商店街。その商店街の横にある覚智寺というお寺はあの世とつながっているという噂があるという。

新しく街に引っ越してきた夫婦、漫画家になる夢をみて上京してきた若者、ジュリーに憧れる女の子、兄が失踪した小さな弟、、、いろんな人がいるそんな街で不思議なことが起こる。柱の陰に物言いたげな男の陰が見える男、死んだはずの旦那が帰ってきたと喜ぶ女、見知らぬ人と文通する女の子、人の死が色となって見えるようになった男、、、この世のものではないものとどこかでつながってしまった人たちの、少し怖くも、でもなぜか心が締め付けられそうになる切ないお話が7編。こういう懐かしい感じがする話には無条件に反応してしまうが、それだけでなくて、会えなくなった人、なくなったものなど、誰もが歳を経ると感じずに入れない寂しさや郷愁がさらりとはいってて、読んでいてほっこりしたり、切なくなったり。

猫が好きだからってのもあるけど、「ひかり猫」という話が好きかな。そして「枯れ葉の天使」も。一話一話は別の話だけれど、狂言回しのようにどの話にもでてくる気難しそうな古本屋の店主の姿が全編を通して少しずつ明かされていくのがまたいい。

短い作品だけれど、すごくよかった。朱川さんの他の作品も読んでみたい。

2008 新潮文庫

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池井戸潤 – シャイロックの子供たち

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東京の下町のある銀行支店のなかで起こるいろいろな事件。それはそのまま支店内部の人間模様、そしてその銀行そのものの組織の闇に繋がっている。 10編の短編で構成されてて、主人公が変わっていくのだが、どれも同じ支店内の人間。バラバラの人間模様かと思えば、それらが最後にまとまっていくのが面白い。

ある日起こった現金喪失事件。その犯人と目されたのは若い女性行員だった。しかし 時を同じくして別の男性行員が失踪。若手ナンバーワンと自他共に認める行員のおかしな成績、社内恋愛のもつれ、上層部の軋轢、、、、表からは見えない銀行の裏側の人間関係とそれを引き起こすゆがんだ体質、銀行そのもののおかしさが浮き彫りになる。

整然と冷静に、効率よく、数字がすべてできっちり動いているように見える銀行も、それらはすべて結局人間が動かしている。とするとそこには数字にはでない人間模様が。実際池井戸さんが描くような内実はどこにもあるようなものなのか、それとも突飛なものなのかわからないけれど、銀行という立場や組織が特殊であるのはなんとなくわかる。そして怖い。金と成績がすべて、というような世界には生きたくない。でもそうではなくて社会的意義に燃える人もいるのだろう。いろんな人がいて、そして彼らには家族がある。この物語では個人個人に焦点を当てながらかれらの家族とのことも描かれる。なぜ銀行で働くのか、どうしてそんなことになってしまったのか。

シャイロッックというのは、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」に登場する悪辣、非道、 強欲な金貸しで、そこから転じてそういう人物をシャイロックと呼ぶそう。

2006 文集文庫

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上橋菜穂子 – 流れ行く者(守り人短編集)

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守り人シリーズの短編集。主にバルサとタンダの子供時代の話が絵が描かれる。彼らが出会った頃。

大好きだが村のはみ出者である叔父の死とそれにまつわる噂について悩む幼いタンダ「浮き籾」、しばらく定住したある街の宿にいた賭事師の老婆から人生について学ぶ「ラフラ」、商人の隊列に護衛として父子ともに雇われるジグロとバルサ、しかしその隊商の護衛が裏切る「流れ行く者」の3編。いずれもバルサは子供だが、守り人シリーズにつながっていく素質が垣間見えるように描かれている。

もしかしたらこの短編集から読んで本編にいっても大丈夫かも。本編を読み終えてからしばらく空いたけれど、すっかりこのバルサの世界も僕の体のどこかに出来上がってしまっているようで、すぐにこの世界に戻ってこれるようになった。解説で幸村さんが書いているように、それは上橋さんがこの世界を構築するにあたって、なんでもない日常のことをすごくきちんと描いているから。だからこそ世界がしっかりした土台の上に自由に作り上げられている。それはやはり人類学の研究者としての面をもつ上橋さんならではの視点なのかも。

2013 新潮文庫

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田中啓文 – 京へ上った鍋奉行

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鍋奉行シリーズ第4弾。今回も鍋奉行こと大坂西町奉行・大邉久右衛門が今回も難題を食で解決する?!

徳川のご落胤を名乗る男子が大坂城下にやってきた騒動が、また、同じくして問屋の騒動から油不足が城下で広まっていた。久右衛門はそんなことは関係なくうまい天ぷらを食べたいということばかり。しかしやがてこの三つが結びついて「ご落胤波乱盤上」、さる店の名前の件で問題が、、、しかしそれを解決したのは奉行ではなく、、「浮瀬騒動。そして謎の書置きをおいて奉行が消えた。それは実は京都のさるお方からのたっての願いだった「京へ上った鍋奉行」、の3話。

これまでと同じく奉行の食い意地がいろんな面倒を起こし、それがなぜか別の事件の解決の糸口になったりする、っていう展開は似ているものの、このシリーズどんどん時代風俗ものの体が濃くなってきたような気がする。面白おかしいというよりは、ふつうに大坂の人々の日常話を聞いているような。当時の時代背景や(とくに食に関すること)、時勢なんかのことがほんとよく映されてて、そうなんだ、とおもうことたくさん。どうも江戸時代とかいうことになると、テレビでやってるような時代劇のイメージしかないので(そもそもああいうのほとんど江戸だし)、大坂の風俗、時代が見えるというのはほんとすごいなあと思う。

移動にしても、船や、馬や、なんなら走ったり、歩いたりなわけで、いまの距離感、時間感覚とはずいぶん違うというだろうというのは想像はできても、実感はできない。きっといまと全然違うものの考えのものさしだったんだろうと思う。京都から大坂に魚の買い付けにいって戻ってくるってのがどれほど大変か、、、想像もできない。でもほんまにあんなことが可能なんだろうか?か、久右衛門の食い意地がなせる技なのか。

いやー。おもしろい。で、読んでてお腹減る!

集英社文庫 2014

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伊坂幸太郎 – 死神の浮力

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伊坂さんの「死神の精度」の続編として書かれた長編。前作を読んでなくてもこれ単体で楽しめる。今回も人間の死の時期の見極めにやってきた死神たちが人間の生活と微妙に関わる。

死神・千葉(死神はなぜか都道府県名)が今回担当するのは、1年前に娘を殺害されたという作家・山野辺。まさにその犯人である本城への無罪判決が出た直後に彼らを訪ねる。山野辺夫妻は世間の興味の目をさけ家にこもっていたが、彼らは本城への復習を緻密に計画していた。しかし実は本城は彼らの予想を上回る頭の切れ味をみせる。彼はサイコパスだった。

そんな彼らの復讐劇を横目に見ながら死神・千葉は山野辺の力になるでも邪魔になるでもなく彼らに付き合う。時には結果的に助けることになったり、邪魔になったり、肝心なことをスルーしたり。死神が自分の仕事を全うするために、人間だったらこうするのにーというようなことをしなかったり、思わなかったり、言わなかったりするあたりが面白く、逆にこのことによって人間が普段どういう風に生きている生き物なのかということを目の当たりにさせられる。それがひとつの伊坂さんの狙いでもあるのか。そして本城はサイコパスという役割のもとで、生きていく上での絶対的な悪というか、悪意とか運命的なものの象徴になってるようにおもう。ほんと読んでて憎らしい。でもそういうものを前にした時の人間の言動にまたはっと気づかされる。

伊坂さんの作品はこんな死とか悪意とか人間にとっては大きな壁となるようなシリアスなものの存在を示唆しつつ、それをあくまでもシリアスじゃなくてエンターテインメントの中で表現しているので、読んでいて本当に怖くないというか、シリアスな気分に落ちていかないのがいいと思う。それでも大事なことはちゃんと伝わるようにしている。これこれこんな恐ろしいことがあるんです、怖いですよねー、僕も怖いんです、的な、読者側と同じ視点にいるというか。もちろん作者と読者は物語からすると神のような位置にいる(全部を見渡せるわけだから)けれど、大概は作者が提示して、読者がうけとるのだけれど、伊坂さんの場合、気づくと横にいて同じ方向から眺めているような感覚になるときがある。

結構大作で、結構シリアスで、いわゆるパズルのピースのようなバラバラの物語がひとつになるっていうタイプじゃなくふつうに進んでいく物語だけれど、最後までどうなるんだろう(つまり本城が予想の上を行き続ける)という感じがおもしろく、でも悪意と失意に満ちている。けれども死神がたまに口にする我々人間にとってはトンチンカンにうつることが少しユーモアを与え、文字から聞こえてくる音楽が潤いを与えているよう。

端々に引用されるパスカル、渡辺一夫の言葉が重くておもしろい。死、というものについて、誰にでも訪れるものということを人間が見ないようにしている事実。人間という生物の特殊さ。今回のこの死神の物語は、そのあたりが見せたかったことなんだろうか。

とても面白かった。

文集文庫 2016

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五代ゆう – 風雲のヤガ(グイン・サーガ141巻)

グイン・サーガ141巻。栗本さんの手から離れて、未来の話になってはや11冊目、はやいなあ。このところ目下の注目はすっかり生まれ変わってしまったミロク教の聖地ヤガ。

本巻も密命をうけたブランとそれを助ける白魔導師イェライシャが、囚われたヨナ博士とフロリーを助け出そうとする。そこに同行しはじめる弥勒の僧侶2人。この2人が面白いのだけれど、やがて大きな伏線になったりするのかな?そしてあの外伝「七人の魔導師」ででてきた魔導師がいよいよ揃ってくる。面白い展開。あの巻では変なやつばっかりって感じだったけれど、一人一人にフォーカスしていって個性が見えてくるとこれまた楽しい。

一方ケイロニアのはずれではヴァレリウスとその弟子となったアッシャ。彼らのもとにも竜王は手を伸ばす。追い込まれていく彼らパロの残党はどこへ追いやられるのか?

大きな運命の渦に巻き込まれるように、中原はキタイの竜王という異世界のものに蹂躙されようとしている。それに争う人間たち。やがてそれはグインのもとにやってくるんだろうな。やっぱりこのシリーズは壮大で本当におもしろい。次巻にも期待。

ハヤカワ文庫 2017

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田中啓文 – 浪花の太公望(鍋奉行犯科帳3)

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鍋奉行犯科帳シリーズの3冊目。今回も大阪西町奉行、大邉久右衛門が縦横無尽に食いまくる(?)

ちょうど季節もあってた話「地車囃子鱧の皮」、大阪はやっぱり夏は鱧よねーという気分。そして行ったことないんだけれど天神祭。そんな夏前から夏にはいるころの大坂の様子がよく描かれていて、それだけで江戸時代にタイムスリップ。時代物というとどこか劇画風なイメージ持ちがちだけれど、田中さんが書くと、現在と地続きな、ちょっと前のことって感じがする。それは描き方の上手さもあるとおもうけれど、作者も読者も一緒になってその時代の住民のひとりになっているという感覚をもたされるからじゃないかな。特有の難しい知らない言葉もなく(あるんだけどそれがひっかからない)すっと没頭できるのが素晴らしい。話逸れたけど、なんせ鱧が美味そう。見栄から無茶な約束をしてしまい、それを部下に押し付けるお奉行の無茶ぶりが、やがて功を奏する展開になるあたりが田中さんらしかったり。

あとは、さびれた居酒屋の賑わいを取り戻そうと同心勇太郎らが奮闘する「狸のくれた献立」、タイトルがもうふざけてて楽しい、謎のバラバラ殺人と釣りの名人が結びつく「釣りバカに死」。3話とも大坂の風俗とともに、そこに生きている人たちがほんとその辺にいるように生き生きと描かれていて楽しい。今回は無茶無茶な展開になったりはしなくて、それも落ち着いて読めた要因かな。しかしお腹の空く小説w 次も楽しみ。

そしてちょっとずつ勇太郎まわりの人情ごとがいろいろとでてくるようになって、なんか微笑ましい。恋の話もでてくるのかなあ。純愛物とかになったらどんな風に描かれるのかなーなんてのも楽しみ。

PS 表紙裏の著者近影、若いなあー

集英社文庫 2014

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カズオ・イシグロ – 夜想曲集

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「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」というサブタイトルが付いているとおり、外国を舞台にした音楽家(音楽)をめぐる人生の物語。

かつて名声を得た老歌手が妻への愛を歌うがそれは届くのか?「老歌手」、危機にある夫婦のもとへ友人が訪ねてくる「降っても晴れても」、仲睦まじく旅行に来ていたと見える夫婦音楽家の本音が語られる「モールバンヒルズ」、優秀なのにその風貌のために売れずそそのかされて手術をした先でスタートとの不思議な數夜を過ごす「夜想曲」、そして魅力的な謎めいた女性にチェロの手ほどきを受ける「チェリスト」。

音楽からみの話となっているけど、音楽そのものよりも、それをとりまく人々の悲哀を描く。夕暮れという時間を描写していなくても、どの話もどこかもの悲しげな感じをうける。それはどれもがハッピーである話ではないからか。これから先の人生があるとしても、その瞬間主人公たちはなにか人生の夕暮れともいえる時間にいる。その景色がもの悲しさを醸し出しているんじゃないかな。サックス奏者の話に関しては、ちょっとわかるなあ、と思うこともあり、自分に置き換えて自分ならどうするかなあとか考えたり。

訳は悪くなかったけれど、ちょっとだけ読みにくかった。音楽にまつわることって訳しにくいニュアンスもきっとあるよねえ。

ハヤカワepi文庫 2011

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