ブギウギありがとう!

2023年秋から始まったNHK大阪制作の連続テレビ小説(朝ドラ)ブギウギが、一昨日3/29についに最終回を迎えました。笠置シヅ子さんを題材とした半年にわたる物語もその中での演奏シーンも最後までとても素晴らしかったです。テレビで見ていてももちろんですが、撮影の現場にいると趣里さんはじめとする俳優陣、制作陣の熱量とひたむきさ、こだわり、遊び心等々に毎回感動感心することばかりでした。幸運なことにカムカムエヴィリバディに続いてこのドラマに参加できて本当に光栄でした。楽団の一切を手配して面倒を見てくれたMITCH、本当にありがとう&おつかれさまでした。

僕が収録に関わったところをオフィシャルの写真も交えて載せて残しておきたいと思います。画面に出演させていただいたのは

東京ブギウギレコーディング(2/8 90回)
買い物ブギ(3/1 106回)
渡米記念お見送りショー(3/5 108回)
作曲二千曲記念ビッグパーティー(3/11 112回)
オールスター男女歌合戦(3/22 121回)
さよならコンサート(3/29 126回最終回)
クランクアップセレモニー

でした。

思い出をいくつか。最初に収録に参加した東京ブギウギのレコーディングシーンでは、マネージャー山下役の近藤芳正さんもいらしていて、カムカム以来にお会いできて嬉しかったです。俳優さんの知り合いなんてほとんどいないので、顔見知った方がいるとそれだけで安心したりできますしね。この時は演奏の音も収録していましたが、放送では映像はそのままでバンドの音は無音という印象的なシーンになっていて素敵な演出だなと思いました。

買物ブギはダンサーさんがたくさんの道具を使う演出だったのですが、後ろにいるバンドからは一体どうなっているのか分からず、放送で見て、おお、こうなってたのかー!と感心しました。最後にパネルを捲ってるのはわかってましたが、まさかOSSAN!だったとはねえ(笑)

エキストラである僕たちは台本を知らないので、どんなシーンであるかは知っていても物語のどこに来るかはしらないので、収録にいくと(同時並行で見ている放送中のドラマにはまだ出演されていない)新たなキャラ(俳優さんたち)が居て、「あれだれなんやろー」とか思うことしばしばです。お見送りショーの収録のときは田中麗奈さんもいらして、一体物語のどこで出て来るんだろうー?と思っていたらのちの放送で有楽町のパンパンの元締めって役なんだ、と後から知ることに。

コンサートの映像はほぼNHK大阪ホールでの収録でしたが、二千曲記念ビッグパーティーのみNHK大阪局内のスタジオでの収録でした。カムカムのクリスマスコンサート時以来だったので、またあの時のスタジオに入れて嬉しかったです。少し懐かしかったり。

放送と収録は順番が必ずしも一致してなくて、さよならコンサートの収録が男女歌合戦より先でした。収録の少し前ぐらいからこの収録は生演奏でやるみたい、との話で、しかも音楽制作の服部隆之先生が自ら指揮をされるということで、非常に楽しみでありつつ緊張する機会でした。前日に綿密なリハーサルをして、翌日本番という流れで、当日も何度か音響やカメラのためにリハーサルをやったのちに本番を収録しましたが、趣里さんが本当に素晴らしくてやりながら感動していました。あのシーンは歌に入る前の長いセリフから、最後にステージにキスをしてお客さんに手を振るまでの一連を途中で切ることなく通して撮ったのですが、趣里さんのスズ子としての最後の歌に掛ける気合と熱意がバンドにも乗り移って素晴らしいシーンになったと思います。

この日の特別バージョンの東京ブギウギはボーナストラックとしてCDに収録されています。

オールスター男女歌合戦はほんと豪華なセットでした。よくあんな大きいの作ったなーという感じですが、昔の紅白でも左右で2バンドセットされたりしてましたもんね。バンドもドラマで一番大人数で華やかでしたし、キャストのみなさんも豪華でした(趣里さん、菊地凛子さん、吉柳咲良さんの他に、現役OSKのトップスターの方々や歌唱指導のゆうき先生も)。オープニングの音楽と、水城アユミの「ラッパと娘」、スズ子の「ヘイヘイブギー」を収録したので、長丁場でしたが楽しい時間でした。

クランクアップは2/10で、最後に収録するシーンの撮影が終わったらセレモニーが行われるのですが、バンドで賑やかしの演奏に入ることは一部のスタッフしか知らないサプライズでした。まだ撮影中に局に入って別のスタジオで綿密に作戦会議(リハ)をして、さあそろそろ最後の収録が終わるぞというときにそのスタジオの片隅の目隠しされたところにスタンバイしてーでした。くす玉が割られたあとに演奏が始まって目隠しが避けられると、趣里さんはじめ知らなかったみなさんがおおーと驚きとともに喜んで聴いてくださってとても嬉しかったです。後日この時の様子があさイチで流れて逆に僕がびっくりしましたw

そんな長い時間にわたって関わったわけではないですが、こうやって振り返ってみるとまた貴重な経験をたくさんさせてもらったなと感じます。役作り(面白いから?w)のために今回は20年以上振りに髪を切りましたが、ヘアメイクさんの努力と技術の賜物でああいう髪型に仕上げてもらって僕自身もなにか新しい世界が広がりましたし、現場でも受けがよくて嬉しかったです。「宮さん」とか呼ばれてましたしw(ちょっと調子に乗ったw)

改めてドラマをご覧になっていただいたみなさま、制作のみなさま、俳優のみなさま、楽団のみなさま、その他このドラマに関わったみなさま、ありがとうございました!ここでの経験をまた次に活かしていけたらと思います。

あー、楽しかったなぁ!

PS
余談ですが、さよならコンサートの収録の時少し服部先生とお話しする機会があり、ドラマ中盤に「ラッパと娘」が出て来た時に僕が聴感上想像する譜面と画面に出て来た譜面の違いをXに書いてた(半分のテンポで書かれてた)ことをお聞きになってたようで、あれはあなたですかー(笑)みたいな話になったのですが、なぜそうなったのですか?とお伺いすると「普通に書くと譜面がとても長くなるから」でした。半分のテンポで書くと譜面も半分の長さになるのでやたらとページを捲らなくていいのですよね(特に指揮者の場合)。なるほどー!でしたw

NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」に出演させて頂きました。

少しぼやっとしてますが、古い映画風の回想シーンなので、こういう映像効果なのです。

昨日11/9放送分のNHKの朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」に出演させて頂きました。上白石萌音さん演じる第一部の主人公・安子の兄・算太(濱田岳さん)の大阪のダンスホールでの回想シーンの中でした。ほんのちょっとでしたが、自分たちがこういうドラマに関わらせてもらって非常に誇らしいです。

今回のドラマは戦前から始まる母娘孫3代に亘る100年の物語で、その中心に実際にあったラジオの英語教育番組、そして「On The Sunny Side Of The Street」というジャズのスタンダード曲がこの3人の人生に大きく関わっていくお話だそうです。今回のダンスホールのシーンのようにジャズバンドがフィーチャーされるシーンも各所に散りばめられる予定ですし、ドラマの中でもジャズがたくさん流れます。今放送中の第一部でもサッチモことルイ・アームストロングの歌やトランペット、北村英治さんのクラリネットや渡辺貞夫さんのサックスの音が流れていて、ドラマを彩っています。

出演の機会をもらえたのはこのドラマのスタッフにトランペッターのMITCHが参加し、関西が舞台となるドラマにジャズ演奏のシーンがあるならぜひとも関西のミュージシャンを使って欲しいと掛け合ってくれたからだそうで、ほんと感謝してます。普段の撮影ならエキストラの役者さんが担当するところだと思うのですが、ミュージシャンを使うことにより、より音楽が本物に見え、ドラマに深みを与えられると思います。

この後もいろいろジャズがクローズアップされるシーンが用意されていて、そのところどころに関西のミュージシャンが登場する予定です。一瞬かもしれないし結構映るかもしれないですが、ドラマのお話とともに誰が登場したか探すのも面白いかもしれません。出演するシーン毎に時代が違うので同じミュージシャンはほぼ1度しか出てこない予定で、さて一体何人登場するのやら、です。

第一部は時代設定が戦前戦後ということでミュージシャン役も「髪が短く、痩せている男性」という縛りがありました。ドラマ自体の撮影が始まる随分前にMITCHから「これこれこういうドラマがあって演奏のシーンに出て欲しいねんけど、髪切ってもいい?でも撮影したとしても放映で流れなかったら悪いしー」という連絡をもらい2人で悩んで一旦なしになったのですが(今後放映される、最初に撮影したシーンはみなさんそういう方々になった)、今回のダンスホールのシーンではハットを被っていいということになり僕も参加させてもらえることになったのでした。背が高かったら違ったシーンだったかもしれないんですけれどね(謎)。

今回のダンスホールのシーンは大勢のエキストラやダンサーの女性、バンド、そして濱田岳さんとお相手の女性が登場して賑やかで、濱田岳さん演じる算太が憧れるチャップリンの映画の映像のような回想シーンでした。流れた映像では音楽のみでセリフはなかったですが、実際の撮影ではセリフもあり、演出もちょっとオーバー目(チャップリンの映画のように)で、現場の撮影はとても楽しかったです。演者もスタッフも監督さんもいいシーンにしようと撮影が進む毎に熱が入って行きましたし、何と言っても濱田岳さんのダンスが光っていました。

まる1日かけての撮影でしたが、バンドメンバーにはとくに演技指導はなく(この辺がミュージシャン使うと楽になるでしょうねえ、立ってるだけで音楽家ぽくみえるし、楽器は自前だし)、シーンの切り替わり(曲変わったでしょ)のときに小芝居が入ったりするだけでした。でも音楽と演技が違うとおかしくなるので、曲は暗譜、とくに動きのわかりやすいピアノ、ドラム、トランペットは完璧に覚えてました、素晴らしい!(僕少しあやふやなところも^^;)

ひとつ濱田岳さんとの絡みのシーンが用意されていて、それは訪ねて来た女性ダンサーを雇わせるため、バンドにローストチキン(だったと思う、撮影が進むにつれ大きくなっていったw)をプレゼントして自分が得意なダンスができる曲を演奏させるというお茶目なカットだったのですが、ピアノの杉山くんが抜擢されて見事な掛け合いをやりましたねえ。いやー、さすが、何もかも初めてなのに完璧でしたねー。僕に回ってこなくてよかった^^;(ピアノかラッパかサックスか、という話になってたそう)

このシーンに出演してたバンドメンバーは

永野雄己 トランペット
杉山悟史 ピアノ
荒玉哲郎 ベース
奈倉翔 バイオリン
森田渚音 ドラムス
武井努 サックス

でした。奈倉さんは最初のスローの曲のシーンはいるのですが、テンポの速い曲はストリングスなしだったので降板となってます。

このシーン、僕たちバンドもできるだけ当時の感じになるように楽器や雰囲気なども揃えて、髪型も七三わけにしたりしてるんですが(僕と永野くんはハット=実は髪長い)、個人的に一番面白かったのはベーシストの髪型です。実はリーゼントですw 荒玉さん普段はもじゃっとした感じの髪型なのですが、すごく時間かけてあの髪型に。いやーセットアップしてるとき笑いましたねーw

こういう風にジャズがみなさんの目に止まるようなテレビの番組で度々取り上げられるのはとても嬉しいことです。知らない方には近寄りがたい世界なのかもしれないですが、ジャズは素晴らしいですし、ジャズのライブハウスやレストラン、喫茶店は素敵な場所ですし、ミュージシャンはかっこいいのです。このドラマを通してドラマのお話自体もですが、ジャズに興味を持っていただけたらとても嬉しいです。

この後も「カムカムエヴリバディ」をぜひ応援してくださいね!