引退を表明した宮崎さん。そして最後にするとしている作品「風立ちぬ」。かねてから会いたかったと宮崎さんが言う半藤一利氏との対談書。昭和史、飛行機、夏目漱石などを通して「風立ちぬ」で描きかたかったこと、この国のありかたなどを語りあう。
こんな対談を読んでいると、いかに自分が何も知らなくて、何も考えてないかを目の当たりにされて悲しくなってしまう。本当の意味で国を憂いたり、怒ったり、そんな人生の先輩たちの対談はとても刺激になる。そしてこのひとたち本当にいろいろ物識りだなとひたすら感心してしまう。いくら好きとはいえこんな細かなことまでよく知ってるなーと。彼等にくらべて僕のもの知らずさ加減に嫌気がさすぐらい。本当に好きでいろいろ自分で行動して勉強してるひとたちは(とくにこういう人生の先輩たちは)全然レベルが違う。自分がああいうふうになれるかとは到底思えない。
しかしその博学者たちの対談は知らない話であっても非常に面白い。夏目漱石や他の文学のことも、飛行機のこと、戦争のこと、どれをとっても面白い話ばかり。もっと本が分厚つくてもいいから対談全部載っけて欲しかったなあ。もう少し映画について突っ込んだ話があるかとおもったけれど、それはあまり思ったほどでなかったのが少し残念。
文春ジブリ文庫 2013