何のために生きるのか?自分のため?人のため?それとも他の何かのため?こんなことわからない。生まれたときからすべての生き物は死んでいってる。なぜ生まれて生きて死ぬ?この命題は答えなんかきっとない。だから不安。だからもがく。だから苦しい。
自分が自分であるともっとも自覚できる自分のなかのものが病魔に犯されて壊れていったら?生きる意味とは?自分とはなに?自分の価値は?自分というのは何をさしていうのか?
根源的な問いと、悲しいまでの恋愛が交差する小説。その断片的な語り口、飛ぶ思考、まとまらない文章、個と個の境のあいまいさ。それらすべてがその疑問たちをいろんな色で見せてくれる。主人公2人の生きている感じが、なぜかするりとはいってくる。同類か?
祥伝社 2006