当初は9月3日の発売予定で制作していた昨年閉店した西宮北口のジャズ喫茶コーナーポケットのラストライブのDVD「LAST NIGHT AT CORNER POCKET」だったのですが、技術的な問題があったり(素人がやってたもんですから)、権利的な問題があったり(これが大きかった)、おまけとして作り始めた「Momory of Corner Pocket」が予想以上の大作となってしまいえらく時間がかかったり(2時間半以上ありますw)したために、ずるずると延期につぐ延期をしてきてしまいましたが、ようやく、やっとこさ、この12月の上旬に完成して発売できるようになりました!!!みなさん、本当にお待たせしました。
素人制作ですが、実のところ手前味噌といわれるかもしれないですが、めちゃくちゃ良い出来です。その辺のジャズのライブDVDなんかより断然いい作品になってるのではと思っています。まあ演奏が抜群に素晴らしいのもありますが、コーナーポケットのあの音をそのまま封じ込められたし、どちらかといえばミュージシャン目線での映像編集になってるので、音と絵がちゃんとリンクしていることが見て聴いてわかってもらえると思います。
思えばこのライブが決まってからしばらくしてから「何か形に残したいね」という話が出たのですが、まぁきちんと録音してCD化する、というのであれば、いままでいろいろCDを作ってきたノウハウもあるし、人脈とかも揃っているので結構容易く進んだと思うのですが、話が「映像で」ということになれば全然レベルが違うのだ、ということに気づいたのはもう編集初めてずいぶん経ってからでした。10倍以上大変なんじゃないかなー。実際の編集作業も膨大ですが(でも、まあ映画とかとは違ってライブなので、映像の時間が決まっているというか、絵をうまくあわせて行くコマ割り作業でできる)、編集を終えてからDVDと言う形に落とし込むときにこんなに手間と苦労があるのだということを全然分かってなかったです。あと権利処理のめんどくささとか。(この辺の話を書き始めるとキリがないのでやめときます)
でも要所要所で素晴らしく力になってくれる人が現れてくれたので、今回の発売に至ることができました。協力して下さった皆さん、本当にありがとうございました!!感謝してもしたらないぐらいです。
この作品多くの人に見て頂きたいのですが、実は数量限定なのもあって流通にはいまのところ流す予定がないのです。なのでコーナーポケットを通しての振込&郵送という方法(もしくは僕自身が自分のライブ会場とかで手売りする)しかありません。でも是非見て頂きたいです!なので、興味ある方は corner.pocket.dvd@gmail.com まで「DVD購入したいです」という旨のメールをお願いします。
DVDの詳細
タイトル | 「LAST NIGHT AT CORNER POCKET」 |
内容 | 2012年9月1日、2日の二日間にわたる北川潔(B)氏と岩佐康彦(Pf)、大野浩司(Gt)各氏とのDUO LIVEより各日それぞれ選りすぐりの3曲、計6曲75分に及ぶ熱演を収録。Corner Pocket37年間の歴史の最後を飾る、これぞJazz Live Performance !!その圧倒的な美しく素晴らしい演奏をどうぞ心ゆくまでお楽しみ下さいませ。各氏の特別インタヴューも収録しています。
[収録曲] |
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ホントこの1年間ほとんどこれにかかりっきりだったといっても過言じゃないぐらいずーっとやってて、途中で何度かへこたれそうになった(実際へこたれたこともあります)のですが、その度に「いやいやそんな弱音吐いてる場合じゃない、きちんとやらなきゃ」と思ったり、制作途中の映像見ながら(とくに Memory の方ですが)マスターのこととか思い出して「いやいやマスターなら言ったことは最後まできっちりやるよな」と思ったり(この辺りは Memory のほうの’マスターについて’というコーナーの幼なじみの方々のインタビューを見てもらうと分かります)、閉店するという話が出たときに最初に感じたモチベーション — ずいぶん僕は勝手気ままやらせてもらったし、マスターにも可愛がってもらった(僕は愛想なかったけれどマスターはずいぶん気にかけてくれてた、と今更ながら思う)し、何よりもあの店が大好きだったから — が「何かぼくにできることでちょっとでも恩返ししたい」という気持ちを強く持たせてくれて、また立ち上がってなんとかやり続けさせてくれました。でもずいぶんまわりの人に迷惑をかけたんじゃないかなーと思います。
でも、しんどいことばっかりじゃなかったです。基本的に何か知らないことを知るのは大好きなので、いままで短いPV程度のものは作ってきたけれどこんなに本格的な映像作品は初めてだったので、いろいろ新たに知ることがたくさんあって楽しかったです。以前(というかまたチャンスあったらやりたい)舞台役者やったときも、如何に演技というのが難しくおもしろいものか(役をいかに自然にやるか)というのを知りましたが、今回は映像編集のおもしろさ、奥深さというのを知りました。
まあライブ盤のほうは時間が決まってる(演奏時間は変化しないから)ので、どのシーンにどのカメラの映像使うかということだけ考えたらよかったのですが、Memory のほうはDVDの収録時間の限界はあるものの、中身については何もない状態から(インタビューをいろいろ撮って、それをうまく並べてコーナーポケットという店の姿を浮き彫りにしよう、という発想から始まった)始めたので、インタビューを撮りながら、その話の内容を吟味して、じゃぁ作品のどういう部分に使おうか?なんて考えながらいろいろ撮りました(最初はある程度話題を決めてしゃべってもらってたのですが、そのうち完全フリーになったw)。そしてある程度インタビューを撮った時点で全体の骨子みたいなのが見えてきたので、どこそこに誰々のあのインタビュー入れようとか決めたり、インタビューだけでは足らないところは別の映像とMCで補うようにしてみたり、と編集しながら試行錯誤してちょっとずつ映像のパーツを作って行きました。やがて全体をくっつけて流してみれるようになったらなったで、全体のスピード感とか、話のつながりが自然になるようにとか、なんてことを見ながら、不必要な部分をカットしたり足らない部分を足したり、と延々と細かな編集をしていったのです。
するとまあDVDの収録時間の限界(映像の品質を犠牲にすれば結構なんぼでもいけますが、長けりゃいいというものではないから、一気にみて疲れないぐらいには短く)もあるので、インタビューも泣く泣く沢山カットしたし(ほんと全部見て欲しいのんなんぼでもあった)、懐かしい映像や写真など入れたいものは山ほどあったけれど厳選に厳選を重ね、最終的につながったものを見るとほんと意味のない部分なんて全くない映像が出来上がってました。どのシーンにもどの言葉にもどの写真にもすべてそれがそこに入ってる意味があります(というかそういうものしか入れられない)。そこで気づいたのですが、世の映画監督ってのはこういう作業をしてるのか、と。なので改めて自分の好きな映画とか見てみるといままで何も思わなかったシーンで「なぜこのシーンを入れたんだろう?」とか「ここでこういう風に言わせたのはなぜだろう?」とかいろいろ思うようになりました。どんな部分にもきっとそこをそうした意味がある、それが映像作品というものなんだ、と思えるようになって、また映画とかの見え方が変わりました。当たり前のことかもしれないけれど、これが今回の一連の作業で僕にとってすごく勉強になったことでした。演奏もそうである必要がある、かもしれないけれど。
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ぐちゃぐちゃ書きましたが、映画監督はこんなこと書かないですよね。ああ恥ずかしい。でも書いてしまったからこれはこれでいいのだとこのまま残します。何よりほんとこの作品を多くの人に見て欲しいです。いま思うことはそれだけです。
そして、この作品たちを音楽を愛する人すべてに、コーナーポケットに集った方々に、何よりもマスター・故 鈴木喜一氏とかーちゃんこと優子さんに捧げます。こんな作品に携わらせてもらえて、とてもとてもうれしかったです。ありがとう。