初めて読んだ我孫子氏。某先輩作家の話によくでてくる方なので、一度読んでみたかったのだが、ようやく手に取ってみた。なんとなくこの本を選んでみた。
ま だインターネットやらウェブなんて言葉なんてなかったころ、パソコン通信という言葉もまだ認知されてなかったころ、熱心なひとたちは黒い画面にうつされる 白い字だけの世界に次の可能性を見いだしていた。現実世界の時間や距離や民族や地位や名誉と関係ないまだ地平しかないような世界。そこではいまにつづくい ろんな物事の発端があったはず。この話を読んでてまずそれが懐かしかった。
当時としてはなかなかうまいネタなんじゃないかと思う。一般 の人は分かんない世界のことだっただろうし。実際いまでもこんなことは起こる可能性はあるけれど、当時はわかりにくく、うまい仕掛けだったと思う。交換殺 人、そんなことやるやつがいるのかどうか分からないけれど、ネットの世界の没頭していると現実とゲームの世界の区別がつきにくい、というか普通は明らかに 違う世界で別々なのだが、没頭しすぎると現実と連動したりつながったり、境目が希薄になったり。ネットの世界のルールや約束が現実世界に関係あるわけない のに、人を介するとそれが拘束力をもってしまったりする。もはやないと不便なツールだけれど、あまりにも巨大になりすぎて、いまや現実世界を食ってしまい そう。ネットは怖い。