ストンプ・ザ・ヤード ストリート・ビート

ストンプ、この映画の場合は道具を使わず体だけで音をだすストンプ。LAでダンサーをしていた主人公が、兄の死からアトランタへ移住し、そこの大学でスト ンプのサークルに誘われ、迷いつつもその世界にはいっていくお話。お話の流れとしては「ドラムライン」とにてる。主人公の感じも。

ま、 お話はおいておいて、冒頭のシーンでのダンスがめちゃめちゃかっこいい。それだけでしびれてしまった。ダンサーといろいろやる機会も多いけれど、やっぱり 黒人の身体能力はほんとものごっついな。見た事ないダンスをたくさんみた。あんなことどーやったらできるのか、全く持ってわかんない。迫力ありすぎ。

ラストのシーン、結局ストンプにもストリートダンスの要素を取り入れたミックスになるのだが、これまたかっこよく、チーム同士のバトルなんかが、またしびれるぐらいかっこいい。これまた「ドラムライン」と似たような展開だが。

いやー。すごいな。

ストンプ・ザ・ヤード
ストンプ・ザ・ヤード – Amazon

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版

ひとはどのくらいの年齢になったころから自分の人生を振り返りはじめるのだろう。その人の人生にはたくさんの出会いと別れがある。それは人であったり生ま れたときから存在するモノであったりする。瞬間的にすれちがうもの、長く時間を共有するもの。そんなたくさんの人やモノとかかわって人の人生は進んでい く。永遠に残るものもあれば、ある日突然なくなってしまうものもある。そういったものたちとの関わりを通してその人の人生は形作られて行く。

で もその人がもつ記憶や感情はその人の主観であり、人生の舞台ではその人からは見えない、でもその人には深く関わる物語がたくさん存在する。それは一生知る 事のないことかもしれないし、あるとき知ることかもしれない。その時最善の選択だとおもったことも、実は違っていたのに、ちょっとした偶然や恣意的なもの によって、違った方向に人生は転んで行く。

でもそういった山谷もやはりその人の歩んだ道は一本道。過ぎ去ってしまえば、それは必然のようにおもえてくることもある。どうしても忘れられない事もあるが、やはり時間とともにあきらめていく、納得していくものなのだろう。

こ の映画を見ていると、そんなひとの人生の不可思議さを考えさせられる。どんな人の人生も、それは未完の物語であり、何歳になっても明日の人生は白紙だし、 昨日までの人生は追憶の対象だ。希望とあきらめ、偶然と必然、いろんな波風で左右する人生は、どうなってもやはりその人の生であり、正解や間違いはない。 なるようになるし、したようになる、のだ。

もしかすると、この映画はなんども見るものなのかもしれない。10年後にみたら、また違った事を思うんだろうな。

完 全オリジナル版ということで、公開時にはカットされていた部分などを50分ぶんぐらい足して3時間弱の長尺映画となっているが、いやいや、全然長さを感じ させない、すばらしい映画だと思う。どこがカットされていたのかは知らないけれど、ぜひともオリジナル尺もみてほしい。話によると劇場公開版とオリジナル 尺版は主題が違うそう。公開版もみたいな。

ニュー・シネマ・パラダイス
ニュー・シネマ・パラダイス – Amazon

男はソレを我慢できない

難しいことなんか考えなくていい、アイデアとノリ、そしてグルーブだ!ってな言葉が聞こえてきそうなぐらい、能天気でノリとスピード感満載で、でも内容なんかあんましない(笑:でもそれがいい)、飲み屋でぐだぐだしゃべってたら盛り上がって一気に撮っちゃいました?!的な、そんな面白さのある映画(だとおもう)

主人公が自称DJということもあるのか、映像にもスクラッチがかかってたり、つなぎや挿入のしかた、音楽や展開の仕方なんかも、VJではなくて、DJの映像版のように見せていて、すごい面白かった。竹中直人のおばかキャラのよさが爆発してて見飽きない。

ま、男ってバカよね(笑)

ゲド戦記

劇場公開で見に行きたかったけれど、結局いかなかった作品。

原作者といろいろ揉めたとか聞いてるけれど、結局原作はまったく読まずにこの作品だけ見てみた。こういう世界観は大好きだし、話の発端からその物語が進んでいく様はわくわくする。

けれど、途中から物語はどんどん細かい方向にいってしまい、もともとの大きな話の流れはどっかいってしまって、この世界の成り立ちやルール、憂慮されているこの世界の行く末なんてことはさておき、主人公の内面、生き方、悩み、そんなことばかりがクローズアップされて、それはそれで面白いのだけれど、肝心の話はどこにいっちゃったんだろー?という感想になってしまう。壮大な物語のプロローグだけ見た、って感じか。

物語のなかでは、今の現実の世界への憂慮や、人間のエゴ、今を生きる人たちへの細かなメッセージなんかが織り込まれていて、それらはそれらでいいんだけれど、じゃぁ、「ゲド戦記」ってなんなの?というと、なんなのかまったく分からない。エピソードが小さすぎるのかな?というか、やはりそもそも2時間ぐらいの映像の枠に収めるのが難しすぎたのかもな。最近の映画はそういう傾向が大きいような気がする。だから続き作ってほしい。

でもジブリ作品ぽいところは、評価できるなー。

あと、もうちょい声優さんは声優さんに慣れた人にやってほしいなぁ。ちょっとぎこちない気がするなー。絵と声がずれている気がする。というかちゃんとした声をもつ声優さんがあまりにもいない、ということなのか。

とにかく、原作を読んでみよう。

赤ちゃんの逆襲

おフランスお笑い映画っぽい作品(笑)同じネタをハリウッドがやったらもっとうっとおしい作りにしてしまうんだろうな。しかしヒトネタだけでここまで映画にできる才能に脱帽。めちゃあほらしい話なのにねー。

知ってる(みたことある)役者さんがたくさんでてて楽しい。途中の(ちょっと)無茶な赤ちゃんのCGぽいのが気になったが、あとはよーしゃべるフランス人たちのほんま勝手な、でも愛情あふれる感じに、フランス的笑いニュアンスがわからなくても、たぶんフランス人の半分ぐらいは笑えたんじゃないかなー。ながら見できそうなぐらいライトな作品。

モーツァルトとクジラ

アスペルガー症候群や自閉症をもつカップルを描いた映画。個人的にはこういうたぐいのものは不得意で、えてして見ないようにしてしまったり(実際の生活でもそうだ)意識の外においだしてしまったりしてるのが事実。でもこれは本当はだめなことだとわかっているのだが。偏見などを生む温床になってしまう。でもなかなか理解しがたい世界。

もしこの映画が単純に社会的なことばかりを描く映画だったらきっと見続けられなかっただろうけれど、この映画の場合、あるカップルの恋愛模様を中心に描くことで、こういう人々がどういうふうに感じてどういう風に行動したりするのか?という一面をやわらかくわかりやすく見せてくれる。しかも、あーよかったね!的な恋愛映画でなく、そういう性質のために苦悩したりうまく言えなかったり、紆余曲折してしまい、うまく恋愛できない。その姿を通して、彼らがどういう人間たちなのか、というのを見せてくれる。実際あたいたちと何も変わらない。

この映画がきっかけとなって、自分のなかにある隠れている偏見たちが減らすことができたら、と思う。

ハンニバル・ライジング

その昔の昔、羊達の沈黙を見て、めちゃくちゃ精神的に怖い映画やなーと思い、その次作ハンニバルを見て、なんて気色わるいんや、おえー、と思った。両方ともやはりアンソニー・ホプキンス演じるレクター教授のキャラクターがめちゃくちゃ立ってて、あの凄まじさに負うところがおおきいと思う。

で、そのレクターの青春時代、なぜレクターがレクターになったのか?をひもとくエピソードがこの作品だが、やたらと美しい東洋美人の叔母に目を奪われるばかりで、肝心の主人公のキャラが薄い。少しおかしげな雰囲気は漂わせるけれど、やはりあの心底怖い感じには到底およばない。

幼少時代のトラウマになる出来事を中心に描くことで、彼の生い立ち、そのなりゆきを知ることはできるが、やはり、あそこまで凄まじいキャラにどうして成り得たのか?というのはあまり伝わってこないのが残念、どっちかいうといいひとにも見えるし。そういうとこじゃないと思うのよね、このシリーズの核は。

シャーロットのおくりもの

これってもともとアニメとかあってんなぁ、知らなかった。かわいい子豚ちゃんが出てくるので、昔あった「ベイブ」の続編かと思ってたけれど、それも違った(笑)

なんでもない子豚ちゃんを、ソーセージにしないがために、納屋に住む動物たちが協力して、彼を助ける物語。同じ納屋に住むシャーロットというクモが大活躍する。

このクモがその巣にいろんな英単語を描くのだが、どうも英語圏じゃない人間にはいまいちその単語がどんな意味をもってるのか把握しづらく(もちろん字幕はあるが、それでもピンとはこない)、なぜ子豚ちゃんが助けられたのか、真意はつたわらないのが、残念。英語わかったら楽しいのになぁ、きっと。

ブロークンフラワーズ

ふと届いた差出人不明のピンク色の紙の手紙から、その昔モテる男だった男が昔の恋人達を訪ねあるく。

全体的に物静かで台詞もおおくなく、ましてや物語を無理に盛り上げたりするBGMもなく、まるでモノクロの日本映画のように淡々とすすむ映像がいい。今の恋人に出て行ってしまわれ、やる気も何もない男が昔の恋人にあうにつれ少し元気になってみたり、その昔の恋人達がそれぞれに魅力的で、それぞれにやはり昔の恋人になにがしかの未練のようなものをもっている(それが普通なのか?)のを、実に微妙なトーンでそれぞれの俳優達が演じているのも好感。

結局具体的な結論はなにもでないし、これといった起承転結もないし、盛り上がったり盛り下がったりもしない、そんな語り口が好きな人にはとてもいい映画じゃないかなぁ。ストーリー性が欲しい人には無理かも。

たぶん、こんなもんなのよ。生きていくことなんて。映画だから映画のように話が転んだり、なにとなにかがつながったり、ハッピーエンドだったりその逆だったり。でも、普通はそんなことないよな。それがあたりまえ。その当たり前を当たり前に描ききった監督は偉い。

全体をアンニュイに包み込む、エチオピアンのジャズがいい味を添えている。好き。

オーシャンズ13

このシリーズの中ではいちばん落ち着いてる感じがした。こんかいも大胆な泥棒物語で楽しい。もうちょい長くして泥棒のプロセスを細かく描写してほしかった気もするけれど、テンポよく進んでたので、まぁそれはいいのかもー。

アル・パチーノかっこいい、おっさんなったぁ。ガルシア太り過ぎ!(笑)。今回はクルーニーのほうがかっこ良かったなー。

ちゅうかこの映画をみると、自分も金持ちになったような気分になってしまう。ファッションもシチュエーションもどれもさりげなく高級感漂ってるので、いやみなくかっこよくていい。自分もオーシャンズの仲間になったような気分にしてくれるのがたのしい。もしかすると映像の視点がうまく主観的になるようにしてあるのかなー。なんせ自然に観れるのがいい。

SOFTBANKの影響か、ピッ君がやたらとケータイで話まくってたのが気になった(笑)

アメリカ 2007
2007/8/10 公開