望月さんの3作目。めちゃ分厚い。
どオカルト的なタイトルだけれど、それだけの話ではなく(というか、ぜんぜんオカルトではない)、今 の時代にある、たくさんのさまざまな人間たちの悲哀を描いている。そしてなによりも、いろんな社会問題をもうまく織り込んでいて、中盤までは、いったいど こに視点をしぼったらいいのかわからなく(登場人物も多いし)なるほど、物語も複雑になっていく。しかしそれらの中心にずっとある呪いの影・・・・。
実際呪い殺すことができるのかどうかわかんないけれど、殺したいと呪うひとはいるだろう。でも呪うのと実際に殺すのは、やはりちがう。死に値するほどの悪だと思っても、本当に死ぬべきかどうかなんて、誰にも判断できない。だから躊躇するもの、他方殺すもの。
いろんな倫理観に疑問をなげかけまくる、面白い作品。すっと読む本ばかりじゃなくて、こういうごつごつした本も読むべきだ。
集英社 2004