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田中啓文

田中啓文 – 茶坊主漫遊記


田中さんのまた歴史物っぽい本。この間読んだのは忠臣蔵だったから今度はなにかなーと思ってたら、謎の僧侶二人づれ、それにもう一人おどけた人物が加わった3人の珍道中、、、というと弥次喜多とかそれこそ水戸黄門みたいだけれど、そんな感じではなくて、”もしかして実はこんな史実だったら・・・”という、そういう意味では忠臣蔵のやつに近いのかも。今回もキャラがたった人たちばかりで楽しい。

それにしてもばらばらには知ってるけれど、(どうも歴史と言うのが勉強の対象としては面白いと思えなかったのでぜんぜん知らないだけだけれど)関ヶ原とか天草の乱とか、柳生十兵衛とか宮本武蔵とかが同時代ということは全然しらなかった。これらをうまーくひとつにまとめて話が進むので面白い。で、その結局のところの怪しげな僧侶がだれだったのか、というのは伏せておくけれど、いまの感覚ではわからないけれど、当時なんてちゃんと顔を会わしたことがない人同士が戦ったりしていたわけで、いざ捕まえてから本人かどうかなんて実はわからなかったことが多かったんじゃないかと思う(このあたりは忠臣蔵も同じネタつかってましたが)。息子や娘もはやくに養子や嫁にだしてしまったり、だれがだれのどの子でーとかなんかわかんなくなったりもするだろうし、ましてや顔を知ってて本人だとなんかわかりようもない、ってことが数多あったのではないかと。

そんなある意味のんびりしていた時代の感じを味わわせてくれたりもするし、ちょっと頓知の利いた謎解きもあって(これがおおい)すっと読める作品だった。隠居しないでまたどっかに旅にでてほしいなぁ、治部さま。

集英社文庫 2012

田中啓文 – チュウは忠臣蔵のチュウ


田中さんの時代小説(?)。ある人から「あれはオモロいぞ」と薦められて読んだ。忠臣蔵自体ぼやっとしかしらないので、あとがきで書かれているようにぼくらが何となく認識してる忠臣蔵(浅野内匠頭の吉良上野介に対する刃傷事件ー>浅野内匠頭の切腹ー>浅野家家臣 赤穂藩の大石内蔵助による討ち入り&吉良成敗)というのは骨子はそのままでも史実とは実はだいぶ違っていて、それはどうやら江戸〜明治時代に流行った講釈(講談)の影響がおおきいそう。赤穂義士たちの各々の物語なんてきっとあとから付け足されたものだし、討ち入りに関しても実際どうだったのかは実はわからないそう。それほど歴史的記録が残っていない。でもあの時代にあの事件はものすごく話題なったはずで、歌舞伎になり、講談になりで、物語はすごく広がったんだそう。

で、このお話、その史実が実際どうだったかというところを逆手にとって(?)あらたな展開を持ち込んでいるのがおもしろい。上述のような背景があることを知らずに読み出したので「また田中さんめちゃくちゃな話作り出したな」とほくそ笑んだのだけれど、これがウソだったかどうかなんて誰も分からない訳で(笑)。なんせ内匠頭は切腹を免れているし、さらに吉良は討ち取られてないし(これ以上かいたらネタばれになるな)、その陰にはあんな人やらこんな人が暗躍して、、、いやいや立派な時代活劇です。

田中さんの本にしては(?)わりとふつーの創作っぽい感じで、めちゃくちゃな無理矢理感も、脳天につきささってくるようなギャグもないのだけれど、逆に普通に楽しく読めた。いつぞや読んだ宮部さんの赤穂浪士ものといい、この辺りの話っておもしろいなぁ。

文藝春秋 2011

田中啓文 – ハナシがうごく!(笑酔亭梅寿謎解噺4)


そして3につづき4も一気読み。だってやめられないんだもん。この巻も短編が8つ。どれも古典落語が題材で、目次見ているだけでも全部普通に落語できいてみたくなる(もちろん月亭八天さんの解説あってのことなのだけれど)。

襲名騒ぎや師匠梅寿の危篤などのどたばたがようやく一段落した梅寿一門であったが、大手プロダクションを抜けた彼らには仕事もなく、落語ブームもどこ吹く風。バイトしたり闇営業したり。そんな竜二にはやはりまだまだ波乱が。たまたま立ち寄ったなじみのライブハウスでインディーズ社長に気に入られて落語のCDを出そうと持ちかけられたり、甘い営業だと思って飛びついたら死にそうになったり、落語がまた嫌になって漫才に手をだしたり、、、そんな彼も3年目になっていよいよ内弟子から独り立ち。でも仕事はない。さてどうなるのか?

”謎解噺”というシリーズ名なので落語にかけたミステリーものという感じもあったけれど、いまはあまり謎解きものはなく、竜二の成長とどたばた、数々の難問どかどか、という感じ。でもちゃんと落語がネタになっているし、ますます噺家の世界に引きずり込まれるようで楽しい。個人的には最初の「二人癖」と「仔猫」が好きだなぁ。つづき出るのかなあ。竜二もっと頑張ってほしいなぁ。

集英社文庫 2011

田中啓文 – ハナシがはずむ!(笑酔亭梅寿謎解噺3)


自分のブログを読み返してみたら4年前に読んで以来のこのシリーズ。続きがあるのはもちろん知っていたのだけれど、なかなか出会わずで読みそびれていた。前のお話がどんなだったかはすっかり忘れてしまっていたけれど、読み始めるとだんだん思い出したのもあるけれど、とにかく面白くて一気読み。こんな面白かったっけ?!

ロックとバイクが大好きでめちゃくちゃだったがひょんなことから上方落語の大師匠である笑酔亭梅寿に弟子入りした梅駆こと竜二。彼が師匠や兄弟子たちにひどい扱いを受け、「もうこんなん嫌や」「落語なんか何がおもろいねん」とかいいながらも、少しずつ落語のよさ、いろんな面を知って行く。それでもたまにはめちゃくちゃしてしまうのだが、それでも破門にはならない。どうやら陰で師匠は彼に才能があると思っているようで‥‥

短編が8話。どれも古典落語が題材(モチープ)となっており、その解説を最初に月亭八天さんが軽く(しかもうまく)書いてくれているのもあるし、お話の中でもあらすじや背景なんかを説明してくれるので、面白い物語だけれど落語のいろはを知ることもできてとても楽しい。また竜二がめちゃくちゃだけれども憎めず、彼と一緒に落語というもの、噺家というものの世界を見聞きしていき、どんどんはまっていくのが楽しいのだな。

今回はテレビの時代劇がでてきたり、地方のどさ回り、さらには襲名の話まであってバラエティに富んでいて読んでて全く飽きない。ほんとこれ読んでると落語家さんたちに会いたくなるし、何よりも落語聞いてみたい。まともに聞いたことない。テレビとかでもやってるけれど、音楽と同じ、生でなければやっぱり伝わらないし、見続けられないのよね。あーいきたい。

集英社文庫 2010

田中啓文 – ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺2


前作があまりにおもしろかったので、連続して一気に読んでしまった。

一話完結的な要素は薄まり、前の話がつぎの展開へとつながっていくようになり、竜二こと笑酔亭梅駆の成長記的などたばた劇となっていく。これまた楽しい展開。落語とミステリーという枠組みでなくて、梅寿や梅駆、そして江戸落語の担い手たち、魅力的なキャラクターがたくさんでてくる物語に変化しているあたりが見事。飽きさせずに読ませる。

江戸と上方の比較がしばしば出てくるのだが、これが、なるほどへーっというものばかりで面白い。落語文化をしらないからそう思うのかもしれないけど、お互い認め合うものもあり、確執もあり、ってところが音楽業界と同じかも。もしかして田中氏は両方を掛け合わせて(氏は両方詳しいから)無意識に描いたのかも。たしかに関西にいると東京はそう見えるし、逆もまた然り。これを肯定的に見るか否定的に見るかで先がかわってくるよなぁ。

本書には8編含まれているが、どんどん話が広がっているからか、ひとつの話がふくらんで結構きつきつになってるかも。もっと頁さいてもいいような気がするなー。お話がもったいないかも。

粋、江戸なら「いき」、上方なら「すい」、うーーーーん、なるほど。

集英社文庫 2008

田中啓文 – ハナシがちがう!


前々からのこの著書が気になっていたのだが、なかなか手に取る機会がなく、今まで読んでなかったのだが、ああ、なんで早く読まなかったんだろ!めちゃめちゃ面白いやん。古典落語+ミステリー、田中さんなんて目の付け所いいのだろ。「落下する緑」のジャズ+ミステリーってのもいいけれど(でも割とくっつき易そうな感じはするが)、こっちのほうが断然面白い。というか、ふつうに落語の世界の話としてもおもしろいし(田中さんは結構落語の世界にもぐりこんでいるらしい)、古典落語の題材と謎解きがうまく掛け合わせてあるその掛け合わせ具合も見事としかいいようないし。

師匠梅寿と弟子竜二(そののち梅駆)もすばらしくいいキャラになってるし、舞台やら楽屋やら、実際にその場にいる気持ちになってしまえるぐらいきちっと描かれた様子がすばらしい。

前からすこし落語そのものに興味があったけれど、この本でほんとに興味が湧いてきた。いっぺん観にいきたい。んで、落語によって昔の上方の空気を感じてみたい、です。

集英社文庫 2006

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