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磯田道史

磯田道史 – 無私の日本人

備忘録的に。昨年機会があって、この本に収録されている人物の一人、穀田屋十三郎の話を映画化した「殿、利息でござる」を見たことや、最近テレビなどで日本の歴史のことをいろいろ話したりしているのを見て、磯田さんに興味が湧いて手に取った本。

この本には磯田さんが調べ上げて綴った3人の日本人の物語を掲載。その映画の原作となった穀田屋十三郎。彼は仙台藩の片田舎の貧乏宿場町の商人。税や使役で疲弊していく町の行く末を心配した彼は常に財政難の藩にまとまった金を貸してその利息を得るという奇想天外な方法を思いつく。そのためには破産も一家離散も辞さない決意だったが、町の人々の協力も得るが、簡単にはいかず難航する。それでも諦めずトライし続ける彼はやがて、、、

そして資料がほとんどのこっていないが日本一の儒学者、詩文家と呼ばれる中根東里。書が好きであちこちに師事しては書を読み漁り、多大な知恵と知識をつけた彼だが一切士官することはなく、村の片隅の小さな庵にすみ、村人に彼が得た人生の知恵を語りつづけた人物。

そして最後は高貴な血を引きながらも下級武士の幼女となり、絶世の美人出会ったが故に数奇な運命を辿り、やがて出家して己の美貌を自ら破壊し、歌人そして焼き物よくした太田垣蓮月。彼女は名誉も求めず歌集もださず、焼き物で得た多額の金はことあるごとに貧者を助けるために投げうった。

ここに描かれた3人は歴史的には全く無名の人々だが、己のことを顧みずに周りの人々や村や世間のために全てを投げ打てる、まさに”無私の日本人”たち。彼らの人生を通して、現代の我々が忘れてしまっている幸せとはどこにあるのか?ということを教えてくれる。

この本の評伝を読むと、ほんと今は醜い世の中だと思わされてならない。それは日本に限らず世界全体でのように感じられる。もしかすると気質としては変わってないのかもしれないけれど、そういう風に仕向けられる世の中にコントロールされているように思えてならない。そこから脱却するのは難しいかもしれないけれど、自分をもう少し律したり、静かに考えたり、いろいろ誘惑や攻撃をしてくるメディアなどから少し距離を置いたり、いろんな方法で本来の人間の、自分の周りの、ひいては世界の幸せというものを考えることができるんじゃないかと思う。

決して何か大きな力ではなく、個人個人の思いと少しの行動で、この閉塞感ばかりの流れは変えられるし、幸せを感じられる世の中にすることができるんじゃないか、という希望を持たせてくれる物語たちだった。勇気がでたり、熱くなる、そういう本だった。単純すぎるかな?

2015 文集文庫

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