サン=テクジュペリ – 星の王子様

ずっと昔、子供の頃にこの原作を映画化したアニメがあって、それを観に行った。そしてそのときにこの本(というかハードカバーの絵本のようなものだったはず。まだ実家にきっとある)を買ってもらった。あまりにも有名な本だから、内容なんてあんまり憶えてなかったけれど、この絵だけはずっと憶えていた。でも思い出すこともなかったけれど。。。

ところが先日読んだ伊坂さんの「砂漠」で登場人物が引用していたもののひとつにこの「星の王子様」の文章があって、子供のころはちっとも何も思わなかったのに、大人になってその文章を読むと全然ちがう響きとして感じられた。それで読んでみたいなーと。(同じくラモーンズを聴いてみたいなーとか)

本を開いてみると、懐かしい絵の数々。文庫版はところどころ絵が白黒になっているけれど確か絵本は全部カラーだった気がする。物語もなんとなくは憶えていたけれどもちろん全体像なんか憶えているわけもなく、王様とかわがままなバラとか、バオバブとか、そんなんが出てきたのは憶えていたけれど、もっと数多く星々に住む人(つまり大人たちね)がでてきて、いろんなへんな癖(でもそれらは大人になってしまった人間には普通におもえてしまう物事)を披露する。地球に到着したあとも同じく。一人称で描かれる人物と王子様の会話においてもそんなことがでてくる。大人やこの社会のゆがみなどなど。

いちばんたいせつなことは、目に見えない。

まったくそのとおり。と書きつつも僕もまだちゃんとは分かってないと思うけれど。逆に書けば、見えるものだけで判断しちゃだめ、ってことかな。大人になって、なぜか忙しくして、効率やらを求めていくと、物事をはかるものさしがどうしても自分の中のものではなくて外の何かに頼ってしまう。それこそ値段や見た目、人のウワサ、ルールなどなど。それらは実は後から誰かがつけたものであり、自分の考え/感覚じゃない。本当に大事だと感じられることが大事なのであって、大人はそれを忘れてしまっている。そんなことを言いたかったのかも。

折にふれ開きたい本になった。

新潮文庫 2006