五十嵐貴久 – RIKA

rika

ちょっと前に読んだ「Fake」に引き続き五十嵐さん。これも読んで時間経ってるので備忘録的に。

ネットの出会いサイト(といってもここでもネットはパソコン通信ぐらいなのだけれど)を勧められ、最初は気乗りしなかったがそのうち面白くなってはまっていく主人公・本間。適当に遊んで終わりにするつもりだったが、これで最後にしようと出会った女性がRIKAだった。話してみると気もあい、楽しくてRIKAにのめり込んでいく本間だったが、いろいろ不安だということもあってなかなか会えない。が、ようやくネットのメールではなく、電話で話したことから流れが一変。四六時中電話をかけてくるRIKA。その執拗さにあきれ、迷惑と感じるようになる本間。一旦ネットからも離れ、電話も変えて普段の生活にもどったかに見えた本間だったが、ある日RIKAから電話が。。。。

物語の半分以上を延々と占めるRIKAの執拗ないやがらせやしつこさにどんどん怖くなってくる。実際ここまでのことはないだろうと思えるけれど、いやいや、もしかしてとも思ったり。想像の世界だけれど、ここまでの執拗さは本当に怖い。さすが第二回ホラーサスペンス大賞受賞作。

出版時にはなかったのだが、この文庫本版にはエピローグが書き足されている。本編が「ああああ、、、どうなるのだ?!」的な終わり方なので、その先を描かれると「そうだったのか」と腑に落ちて終わるというのが普通だけど、五十嵐さん、さらに恐怖を煽る設定にしてからもう。。。。もしかして続くの?!エンディングを書き加えてダメになるどころかより一層怖くできるとは、恐ろしやです。参りました。もう怖くて二度と読みたくないw

幻冬舎文庫 2003

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五十嵐貴久 – Fake

fake
私立の興信所を営む主人公宮本と、ある理由からそれを手伝う天才女子大生加奈。彼らは浪人生昌史にセンター試験で高得点をとらせるために絶対にばれないと自信を持つカンニングを実施させた。が、どこからかそれがばれて二人は摘発され、何もかもを失ってしまう。実は一連のこれらの事件は罠だった。そしてその陰には昌史の父親である議員の失脚が目的であった。宮本は彼らと組んで、罠を仕掛けた人物に復讐をしかける。それは高額な掛け金をともなうポーカーだった。

10年ほど前の作品なのでいささかパソコン関連の技術は古さを感じてしまう(いまならもっと巧妙にできる、けど、それへの対策もある)けれど、なるほどなるほどという感じ。カンニングの部分はまあ序章みたいなもので、ポーカーと、それにまつわる騙し合いがこの本の面白いところ。完璧に騙しているはずなのに、じわりじわりとその自信が揺らいでいく。いままで負けたことのない男に勝つことができるのか?ポーカーの技術的なこともだけれど、心理的な側面がよく描かれていて手に汗を握る。

あちこちに伏線が張ってあり、その伏線が物語上の伏線でもあったり、読者へのものでもあったり。最後まで気が抜けなくて面白い作品だった。

幻冬舎文庫 2007

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