望月諒子 – 呪い人形

望月さんの3作目。めちゃ分厚い。

どオカルト的なタイトルだけれど、それだけの話ではなく(というか、ぜんぜんオカルトではない)、今 の時代にある、たくさんのさまざまな人間たちの悲哀を描いている。そしてなによりも、いろんな社会問題をもうまく織り込んでいて、中盤までは、いったいど こに視点をしぼったらいいのかわからなく(登場人物も多いし)なるほど、物語も複雑になっていく。しかしそれらの中心にずっとある呪いの影・・・・。

実際呪い殺すことができるのかどうかわかんないけれど、殺したいと呪うひとはいるだろう。でも呪うのと実際に殺すのは、やはりちがう。死に値するほどの悪だと思っても、本当に死ぬべきかどうかなんて、誰にも判断できない。だから躊躇するもの、他方殺すもの。

いろんな倫理観に疑問をなげかけまくる、面白い作品。すっと読む本ばかりじゃなくて、こういうごつごつした本も読むべきだ。

集英社 2004

呪い人形
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望月諒子 – 殺人者

最近ミステリーばっかり読んるけれど、これはかなり面白いと思う。ミステリーというだけでなく、やるせないというか、犯人の背負ってきたものが直接的でなく、真相を明かされるとともに明らかになっていく点とか、幾重にも周到に用意された殺人劇の見事なつながりかたと、最終的に立証できないで終わってしまうという話の展開がとても面白い。結構枚数あるほうだと思うけれど、話が一直線でなく、いくつものショートストーリーをまとめて、ひとつ終わるところに次のストーリーのはじまりがあり、というような構成で、最後まで読んでしまう。

結構重たい気分になってしまうが、間違いなく面白いと思う。

集英社 2004

望月諒子 - 殺人者
望月諒子 – 殺人者