結城昌治 – 白昼堂々

hakutyu

初めて手に取った結城さん。もちろん知らない作家さんだったのだが、別で読んでる(まだ読み終えてない)伊坂さんの本で紹介されていた(伊坂さんが好きって書いてた)ので、伊坂さんに興味ありありなので、いったいどんな本が面白いとおもうんだろうと思って手に取ってみた。

時は唱和40年代ごろ、高度成長期に入った時代。エネルギーも石炭から石油へのような時代。炭鉱であぶれてしまったものたちがスリを生業に細々と凌いでいたのだが、昔の仲間にそそのかされて窃盗団を結成し、全国各地のデパートに出没し店頭から組織的に物を盗んでいくという話。お話はその窃盗団のやりくちと、それを追う刑事たちのいたちごっこ。テンポは遅いけれど、なんだか憎めない感じの窃盗団(メンバーが個性的で名前も過去もおもしろい)とすこし抜けた感じの刑事たち(本人たちはいたって真剣)の丁々発止がとても楽しい。微笑ましいって感じかも。前途洋々だった窃盗団もやがてそのやり口がばれて、ちょいちょい捕まる仲間の失敗もあったりして、形成は不利になっていく。そこで最後に大私語ををして、、、と大きな窃盗を計画するが、それはいかにいかに。。。。

なんかのんびりしたハリウッド映画を見てるみたいな感じ。それは結城さんの筆によるところが大きいだろうけれど、描かれる時代もいまよりはずいぶんのんびりしてたというのもあるかな。ちょっと前に読んだ宮部さんの闇語りシリーズの中でもそういうスリや盗人の逸話あったのでちょっとそれも思い出したり。あれは明治の話だったけど。なんせ現代社会のようにギチギチしてなくて、おおらかで、悪人も憎みきれないし、お上もすこし頭がやわらかい。

憎めない人たちがいっぱいでてきたり、シリアスなシーンにもユーモアあったり、なるほど伊坂さんこういうの好きそうだなあとか思ったり。おもしろかった。

光文社文庫 2008

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