なかなか凄い設定のミステリー。ある一家惨殺殺人事件を中心にその犯人の娘と惨殺された一家の生き残りの娘の生きる姿を描く。人を殺す・殺されるということは、いったいどういう経緯から生まれるのか、それを背負った家族はいったいどう生きていくのか?そんなこと想像すらできないし、考えたこともない。
現実には毎日のように人が死んでいく。報道ではその事実のみしか伝えはしないが、その向こうに被害者と加害者、そしてそれに翻弄されるのであろう数多くの人がいるというあたりまえのことをいまさらながらに思い知らされた。きっと事件の数よりその人数のほうが圧倒的に多いと思う。
怖い、ただただ怖い。
講談社 2003