江國さんの本はいつもそうだが、この本は特にそうで、それぞれの短編にでてくる人物たちの生き方の感覚というか、”感じ”というかがとてもある意味ストレート、すごく感覚的で、共感できるような気もするし、恐ろしいような気もする。不思議な感覚。でも嫌じゃない。
普 段自分が社会やその他自分以外のものと接している部分というのは、何らかの見てくれやら殻やらそういうものをまとっているのが普通なのだけれど、そういう ものをとっぱらってしまって、すごくベーシックな素直な、ストレートな感覚で、今一度見直してみると、ずっとシンプルに、それがわがままと簡単に片付けら れてしまうかもしれないけれど、より自分で生きていけるのかもしれない、ということを行間で読んでしまうのだけれど、実際そうするのって難しい、でも憧れ てしまう、でも無理かも、と、へんな感覚が頭をどうどうめぐりしてしまう。
でもすてき。こういう人たちは好きだ。
新潮社 2007