石田衣良- 美丘


相変わらず石田さんのこの手の話は美しく、美しいがゆえにうねる波のように猛々しく、激しく、圧倒的なスピードで過ぎ去っていってしまう。

章立てが短くて、すべて過去形で書き始められる文なので、あっという間に読んでしまう。というか読み出したらとまらない。そして物語りも転がり落ちていくようにスピードアップしていく。悲しい寂しい恋の物語。

そのひとがそのひとたるゆえんは何か?姿形?声?考え?
それが失われていくということは、どんな気持ちなのか?そのひとは?そのパートナーは?

めったにないことのはずなのに、すぐとなりでおきてしまいそうな、そんな気持ちがわらわらする、物語でした。

角川文庫 2009

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