初めて読む阿刀田さん。というか男性作家の本を読むのは久しぶり。11の短編を、コーヒーを飲みながらすごす11の夜にたとえて、という洒落たタイトル。
どれもすこしリアルさがあって、ごく身近な誰かのお話のよう。ちょっぴりヒヤリとするかんじ。どのお話も至極リアルで実生活的な星進一ショートショートのような読後感(ちょっとしたどんでん返し)があって、面白いのだが、それが実にリアルなので、ドキッとしたり。
あーあとやるせなくなってしまう「あなたに捧げるブルース」、ロマンチックな「骨の樹」、皮肉な結末「不完全な男」あたりが面白かった。
やっぱり男性が書く文章ってすこし角があるというか、現実的というか、理路整然としているところがあって気持ちいいけれど、もっとアンニュイなんがすきなのよねぇ。
文集文庫 1984