自分のブログを読み返してみたら4年前に読んで以来のこのシリーズ。続きがあるのはもちろん知っていたのだけれど、なかなか出会わずで読みそびれていた。前のお話がどんなだったかはすっかり忘れてしまっていたけれど、読み始めるとだんだん思い出したのもあるけれど、とにかく面白くて一気読み。こんな面白かったっけ?!
ロックとバイクが大好きでめちゃくちゃだったがひょんなことから上方落語の大師匠である笑酔亭梅寿に弟子入りした梅駆こと竜二。彼が師匠や兄弟子たちにひどい扱いを受け、「もうこんなん嫌や」「落語なんか何がおもろいねん」とかいいながらも、少しずつ落語のよさ、いろんな面を知って行く。それでもたまにはめちゃくちゃしてしまうのだが、それでも破門にはならない。どうやら陰で師匠は彼に才能があると思っているようで‥‥
短編が8話。どれも古典落語が題材(モチープ)となっており、その解説を最初に月亭八天さんが軽く(しかもうまく)書いてくれているのもあるし、お話の中でもあらすじや背景なんかを説明してくれるので、面白い物語だけれど落語のいろはを知ることもできてとても楽しい。また竜二がめちゃくちゃだけれども憎めず、彼と一緒に落語というもの、噺家というものの世界を見聞きしていき、どんどんはまっていくのが楽しいのだな。
今回はテレビの時代劇がでてきたり、地方のどさ回り、さらには襲名の話まであってバラエティに富んでいて読んでて全く飽きない。ほんとこれ読んでると落語家さんたちに会いたくなるし、何よりも落語聞いてみたい。まともに聞いたことない。テレビとかでもやってるけれど、音楽と同じ、生でなければやっぱり伝わらないし、見続けられないのよね。あーいきたい。
集英社文庫 2010