初めて読む野島さん。彼は知らないけれど、スコットランドヤード・ゲームは知っている。知っているというかやったことはないのだけれど、どんなゲームかは知っていて、ぱらぱらと目次をみてみると、ほんとにゲームをするかのような順に並んでいるので、はて、どんなものかと読んでみた。
「ゲームの達人」のようなあんな話かなと思っていたが、全然違って甘くてほろ苦い恋愛のお話。しかしそれも途中で思わぬ展開が待っていて、いきなりファンタジーぽくなったりして。どっちかいうとありがちなパターンの話なのだけれど、それがつまらなくならないのは、サブででてくる夏彦というキャラのおかげかな。彼のテンポいい会話と、そのウィットな内容、それらの主人公樽人(タルト)との掛け合いがとても楽しい。
野島さんは脚本家というだけあって、状況をだらだら書くより会話でいろんなことを運んでいくのが巧いのかなぁ。とにかくテンポよくて、そんなに薄くない本だけれどあっという間に読めたし、こまかく区切ってある章立てもいい効果になっているとおもう。
なんかその夏彦さんのことが懐かしい感じするなーと思ったら、伊坂さんの物語ででてくる、チルドレンの黒崎、そして、陽気なギャングの響野あたりを混ぜこぜにした感じなのかも。黒崎のようにクールな台詞を響野のようにしゃべりまくる、といったところかw でも正体は。。。なんだけどな。
さらっとしてて良かった。
小学館文庫 2009