図書館戦争シリーズの6冊目で、別冊の2巻目。これが図書館戦争シリーズ最終巻となる。本編とは違うお話だけれど。今回は主人公の郁と堂上から離れて脇役たちにスポットがあたる。そんなに長いシリーズではないけれど、魅力的なひとたちが沢山出てくるから、彼等がどんな背景もったりしてるのかはとても興味のわくところ。
フィーチャーされるのは副隊長であり実は特異な過去をもつ緒方、まだ入隊当時の堂上と小牧の若かりし姿、そしていったん盛り上がりかけたのにその場はあっさり収まってしまい一番どうなるか気になってた小塚と柴崎の恋の行方。それぞれにまた違うエピソードが描かれて本編を知らなくてもきっと楽しめる。相変わらず小塚と柴崎に関してはあまあまで辟易としてしまうけれどw でも恋する姿というのはいつでも憧れちゃうものやなぁと。
おまけはDVD最終巻に寄稿された「ウェイティング・ハピネス」。久々に稲嶺・元司令がでてきて楽しい。
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あとがきの対談で有川さんがとても大事なことしゃべってる。”萎縮しないことこそが、義務!”と。神戸の大震災のときもそうだったし、記憶に新しい2011年の東日本大震災のときもそうだったように、どうもぼくたちは国内で有事あると自粛してしまう傾向にある。もちろんそれが必要な時もあるけれど、そればかりじゃないのは確か。有川さんが発言されているように、よその地で経済活動を自粛されたって被災地はなにも救われない、ということ。簡単なことなのに気づかない、というか、自粛しないということが不謹慎であるという雰囲気が蔓延するのは本当によくないとおもう。音楽だってそうだけれど、こういう本のようなエンターテインメントというのはどうしても有事の際は悪者/邪魔者扱いされてしまう(思われてしまう)風潮がある。でも誰しもそんな自粛やら謹慎モードなんて長続きできないし、いつか破綻してしまうから、そういうものは必要なはずなのに、どうしても自粛ムードに踊らされてしまう。それって危ないよなあ。萎縮して閉じちゃうと経済はますます悪くなるし、そういう視点で「萎縮しないことこそが、義務!」というのは常に心に留め置かねばならないことかな、と思った。
2011 角川文庫