一連の「宮崎さんのこともっと知りたい」衝動から手に取った本。あれから4年というのは映画「カリオストロの城」から4年ということで、1983年、実に30年前のこと。もちろん映画自体は何度も何度も見て、自分の中での好きな映画のひとつにあげられるけれど、公開時は観に行ってはない。宮崎駿という名前を知ったのはナウシカのときだったと思う。でもどちらかというと高畑勳の名前の方が印象的だったような。
この本の大半は映画の中のクラリスに関する名場面をフィルムからとったフォト・ストーリーで、あー、懐かしーという感じしかしないが、最後にちょろっと1980年の宮崎さんのアニメージュへの寄稿、81年のインタビュー、83年の富沢さんの寄稿、そして83年の宮崎さんのクラリス論、と4つの読み物がついていて、これが読みたかった。
宮崎さんがテレビシリーズのルパンについて語るところがなるほどなとおもう。すでにいろんな手垢のついた「ルパン」というキャラクターと宮崎さんの生み出した理想的な美少女クラリスをどういう風にまとめるのか。テレビシリーズの最後でもルパンのキャラを変えようとしたり、映画でもやってみたり。でもすでにお客さんの中にできているルパン像から乖離することも不可能なわけで、そのあたりの苦労がカリオストロの中にいろいろあると。なるほどそうやってみると単なる活劇映画ではなくて、人間のドラマとしても見えてくるような。
宮崎さんは当時「もうルパンで映画はつくれないけれど、娘とかだったら」とか書いているけれど、結局そういうものは産まれず(それは大人の事情もあったわけで)だったのだが、少なくともルパンのことは好きだったんだろうなーと。そしてあまりにも出来すぎた少女クラリスのつづきも知りたかったけれど、具体的な案がでたわけでもない。あのカリオストロのつづきというのは知りたかった(作って欲しかった)ところだけれど。
アニメージュ文庫 1983