川上さんの作品はいくつか読んできているけれど、エッセイははじめて。普段は物語というものを通してしか感じられない川上さんという人が、エッセイからだともっと濃く(そして思ってた感じだったり、そうでなかったり)感じられておもしろい。やっぱりちょっと(?)へんてこな人だなあと(いい意味で)思う。少し湿り気のある感じとか、そんなとこに引っかかるのか?と思わせるポイントがあったりとか。
新聞や雑誌なんかにちょろっと書かれた文章がほんとうにたくさん。なんとなく章に振り分けられている。でもどれもおもしろく、ひそやかで、あんまりがちゃがちゃしていなくていい。川上さんがあちこちぽつぽつ歩く姿が目に浮かぶ。
読んだ本から気になる一文をひっぱりだして、そこからいろいろ想像を膨らませたり、とるにたらないものにひっかってみたり、作者のなりを想像してみたりする、そんな章があるのだけれど、川上さんの視点で選ぶ本、文なんかを見ているとまたまた読みたい本が増えてしまってこまる。そのうち川上さんのように街に落ちている本を拾うようになったらどうしよう。たしかに本って他の落ちているもの/捨てられているものとちょっと異質感あるというか、存在感を放ってるかも。僕は本を捨てたりできないから余計にそうおもうのかも。
表題作、とても素敵でした。
2004 新潮文庫