西さん2作品目。表紙にピンク色の猫が描いてあった、というそれだけの理由で手に取ったのだけれど、なんていうか、とても特徴のあるお話だった。きりこというすごく不細工な女の子のお話。救い用もないほど不細工なのに、両親の愛情と「可愛いね」という言葉を全身にうけて育ったきりこは、自分の容姿が一般では「ぶす」であることを全く知らず、堂々と女王のように振る舞うものだから、子供時代は(子供の時にだけある特有のマジックによって)まわりもその容姿のことを全然気にしない。しかしあるとき一人の男子の言葉からその世界は崩壊する。自分の容姿がぶすであることを理解できなかったきりこはひきこもってしまう。そして。。。。
と、ここまでだと哀しいお話のようだが、すごく勇気をもらえる物語。ひきこもったきりこがこのあとどうなるのかは読んでのお楽しみ。西さんが高らかに宣言する「一番大事なことはなにか?」ということを教えてくれる本。とくに女性(男性もそうだろうけど)は納得するところがあるのではないかな(想像だけれど)。それはなにかは読んでみてほしい。
とにかく、痛快というか、すっとした、というか、ああ、と思える物語だった。
きりこにずっと付いていろいろ話を聞く猫・ラムセス二世が素敵すぎて、その誇らしげな、賢げな姿が目に浮かぶ。やっぱ猫ってぼくたちより遥かに世の中のこと分かってるよね、きっとw
角川文庫 2011