いしいしんじ – トリツカレ男

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最近いしいさんにトリツカレております。まあそれの主は日記のほうだけれど。いままでポツポツと読んできたけど、いしいさんの描く物語はほんと唐突なまでに夢っぽくていい。説明もなく、感覚ですっとそのいしいさんの世界へ入っていけるからいい。男性作家でこの感じする人ってなかなかいないのじゃないかなあ。歳が近いというのも嬉しいし。日記を読んでいると、それはいしいさん本人がしゃべっているそのままの感じがするけど、その感じのまま本を読むと、これまたいしいさんが話してくれる面白い話を聴かされているような気持ちがして、心地いい。そして話が面白いのよねえ。

ある街にすむ、なにかに取り憑かれるとそのことばかりになってしまうジュゼッペ。彼のあだ名は「トリツカレ男」。いままでにもサングラスやら三段跳びやらオペラ、息を止める、昆虫採集、潮干狩り、ハツカネズミの飼育、などなどいろんなものに取り憑かれてきた。街の人たちが次は何に取り憑かれるんだろう?と思っていたときに、ジュゼッペが取り憑かれたのは異国から来た風船売りの女の子だった。

面白いお話をつくるのが上手なお父さんに、おとぎ話を読んでもらっている感じ。ただただ不思議な感じがするけれど(現実じゃあないよねえという感じ)、どこかみんなに共通する、こうだったらいいなーとか、こうなって欲しいなあー、というような夢が詰まっていて、それが少しずつ溶けて目の前に広がっていく感じ。そしてこの物語の場合は、こういう話だとなかなかなさそうな伏線がすごくうまく結実していくのが素晴らしい。短い物語なのに、すごく長く誰かと人生を共にした感じがする。そして無理なく心があったかくなる感じがする。

ほんといい物語。あまりにも素敵なので、読み終わってから、すぐにもう一度読んでしまった。

新潮文庫 2006

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グリーンブック

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夜は仕事がなかったし、お昼にいろいろ目一杯やったので、このまま家にいてもダメだなと思いレイトショー何やってるかなーとおもったら「グリーンブック」をやっているので観に。この映画の予告観て面白そうだなとおもっていたので。レイトショーだったし公開から一月ほど経つけど結構たくさんお客さんいた。

実話に基づくお話だそう。天才といわれた黒人ピアニストと彼が雇った元クラブの用心棒の白人運転手がまだ黒人差別の色濃く残る南部をツアーで回る。ピアニストはカーネギーホールの階上に住んでいるほどの有名人であるため、南部地域でさえ彼をゲストに招いて上流社会の人間たちが演奏を聞きたがる。でもそれは”有名である”からという理由もあった。なので、演奏以外では彼はたんなる黒人。南部地域では白人と差別され、宿やバーも扱いが違う。中には露骨に見下し暴力を振るってくる連中もいる地域。北部で楽にやっていればいいのに、なぜ彼はそんなツアーに出たのか?

予告を観た段階では、結構この運転手がひどくてめちゃくちゃになる話なんじゃないかとおもってたら、逆にすごくいい話だった。実際の彼らも長く親交を築いたそう。まあ実際の話は知らないけれど、こんなドラマティックなツアーだったら、絶妙な仲になるよなあ、という感じ。というほど二人が真逆の人間として描かれていた。品行方正で知識ある黒人と暴力的で口汚い白人(イタリア系アメリカ人)。

お互いへんな奴と思いながらも、同じ車で2ヶ月ツアーをしていると気心もしれてくるが、各地で発生する問題や、どうしても相容れない部分、揉めたり仲直りしたり、そんなものを共有しながらツアーをし、お互いに理解し合っていく。もともとは黒人蔑視だった運転手の彼も、南部の状況をみたり、ピアニストの人間をみているうちに考えがかわっていく。

いろいろいいことずくめっぽい感じもするのだけれど、なんだろう、扱っている問題は結構シリアスなものなのに、映画自体はのほほんとしているというか、ある意味分かり易すぎるほどデフォルメされてる感じがするし、もっと割り切れなかったり、どうしようもないことがあるほうがほんとっぽいのに、どこか、結局昔いろいろあったけどややこしい部分は忘れていい思い出だけ残ってるよ、的な感じで描かれている感じがした。アカデミー賞いろいろとったけど、なんか少し違う感じがする。

あと、60年代初頭が舞台ということもあって(車でラジオを聞きながら走ってるて設定もあって)、60年代の名曲の数々がスクリーンを飾るのがとても素敵なのだけれど、肝心の主役の天才ピアニストの演奏(だいぶ役者さんも頑張ってやってたそう)、というか、演奏されている曲がダサすぎる。ほんとにこんな感じだったのかな?(映画の中でも、彼はクラシックピアニストとして育つが、環境や時代が黒人クラシックピアニストには圧倒的に不利だから、ポップスぽいのを弾くようにとレコード会社に言われたという設定になっている) あまりにも曲がひどいようなきがするんだけどなあ。小学生が作曲したみたいな感じ。もしかしてそれが彼(実際のピアニストが置かれた環境に対する)の反抗だったのかもしれないけれど、音楽的にあまりにもプアーな感じがして、そこはがっかりというか疑問だった。それ以外の音楽は全部素敵だったのに。

まあ、概ねいい話だったし、いい映画だった(とくに手紙の下りはよかったし、ラストに近いところらへんは、画面に向かって、そうそう!と思うことも)けど、なんかもうちょい欲しいって感じだったなあ。典型的すぎるのかね。

五代ゆう – 永訣の波濤(グイン・サーガ143)

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備忘録的に。グインサーガ143巻。自分の弟が誘拐の事件に巻き込まれたことを遠視で知ったスーティーが彼を助けに行こうと駄々をこね、そこからグラチウスとウーラというへんな組み合わせで冒険が始まる。いっぽうヤガでは「新しいミロク教団」に潜入したスカールとブランが秘密を暴くべく行動を。そしてカメロン提督の遺骨とともに故郷を目指し沿海州を移動するドライドン騎士団。ヴァラキアについてついにカメロンの葬儀が行われる。またケイロニアの辺境ワルスタットでは主人不在の城で異変がおこっているようだった。

異界のものに蹂躙されてすっかり変わってしまい、イシュトバーンが巣食うパロ、そしてパロと関係の深い沿海州の諸国の関係が変化していきそうな予感と、ねじ曲げられたヤガが伝説の魔導師たちにより取り戻されようとしているのと、静かに国の中で陰謀らしきものが蠢くケイロニア。この三つの話がいずれどこかで結びついたりするんだろうな。あとシルヴィアの件もあるし。

なかなか続けていくのが難しいプロジェクトかもしれないけど、次巻以降も楽しみにしてます!

ハヤカワ文庫 2018

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田中啓文 – イルカは笑う

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かわいい表紙が気になって手に取って見たら田中さんの短編集だった。

宇宙に昭和のSFアニメなどのメカを目玉にしたテーマパークがある未来、手塚治虫の霊が地球の危機を囁く「ガラスの地球を救え」、表題にもなっている最後の人類にイルカが会いに来る「イルカは笑う」、秀吉が信長に進呈した丸薬は体が巨大化する妙薬だった「本能寺の大変」、などなど14編。どれも田中さんらしくて好き。

ゾンビが蔓延した世界で料理人が食にこだわる「屍者の定食」がめちゃ面白い。こういうの好きだなあ。B級SF映画にありそうなネタの「集団自殺と百二十億頭のイノシシ」もいい、くだらない(失礼!)な感じがいいなあ。同じような感じで「あるいはマンボウでいっぱいの海」もいいなあ。

こういうのばっかりかと思えば、「あの言葉」や「歌姫のくちびる」のように一転シリアスなストーリーもあったり、落語のネタぽいのもあったり、田中さんの百貨店みたいな本でとても楽しめた。おもしろい!

河出文庫 2015

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高橋由太 – 猫は仕事人

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猫が好きーとか言っているといろんな人が猫関連の情報くれたり、グッズくれたり、エサくれたりするけど、本もそのひとつ。最近NHK-BSとかで作家さんとその飼い猫のドキュメントみたいな番組やってるけど、本(作家さん)と猫はわりと近いのかも。そういう流れでもらった本。

高橋さんは初めまして。どんな話かなーとおもってたら猫大活躍の話でした。世の中には化け猫が普通にたくさんいるという設定(人間は気づいてないし、猫は気づかれないようにしている)で、彼らはいわゆる仕事人(法で裁けないものに制裁を下す)をしていた。そんな江戸の春、町娘姉妹に降りかかる不幸。小さい頃に母をなくし途方にくれる父、それを励ましてくれる人が表れ、やがて立ち直って商売も軌道にのり繁盛していったが、実はそれは乗っ取りのためだった。姉妹は父をもなくし、身代も奪われて、ある知り合いに預けられるが、これも策略だった。そしてそういう事情を知った化け猫たちが、人助けをしようと立ち上がる。さてどうやって?

ここでも猫は人間の言っていることはわかるが、人間はわからない。猫の方が実は賢いという設定になってて楽しい。実際猫見ててもそう思う時とかあるもんな。こいつなんでもわかってるんじゃないかなーとかw。高橋さんの描く猫の感じもどこか見慣れた感じで親しみを感じる。そう分厚い本でもないけど、字が少し大きいのもあってか、物語が面白いのもあってか、一瞬で読み終わった。これ第一弾らしいので、続きも読みたいな。駄猫まるが他にどんな活躍するのかみてみたい。

文春文庫 2014

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いしいしんじ – いしいしんじのごはん日記

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このところ本はまあまあのペースで読んでいるけど、このレビューを書くのを怠っていて、パソコンの横に本が山積みになっている。書いておかないと忘れていくのでレビューにならない(というか自分のための備忘録という意味合いが大きいけど)ので早く書かなきゃと思うのだけれど、日々のバタバタにかまけてほったらかしにしているのはほんとよくないよなあ。

友人に勧められて手に取ったこの本。いしいさんの本は何冊か読んでいるけど、物語じゃなくて、こういうのは初めて。編集部かなにかに勧められてwebに連載し始めたのが最初だそう。2001年の9月くらいから2002年終わりまでのほぼ毎日のちょっとした日記と食べたものが記されているだけなのだけど、なんかこの毎日の短い文章からいしいさんのキャラクターが透けて見えて来てとても楽しく、読んでて飽きない。ただの日記なのに。

もともとご飯とかに無頓着だったのに、あるとき外食にいったらカードが使えなくて現金がたくさんなくて、それで何かを買って帰って自炊したのが自炊生活の始まりだそう。始まり方もとぼけているけど、最初は苦手だったのが楽しくなって、浅草から神奈川の三崎という港町に引っ越したのをきっかけに、近所の魚屋さんからいろいろ買うようになったり教えてもらったりして自炊がより楽しくなり、毎日地元でとれたものを美味しく料理して食べるというのがとても幸せなこと、というのが文章からビンビン伝わって来る。美味しそうでいいなー、というより、いしいさんが生活を楽しんでいるのが伝わって来て楽しい。近所のこどもたちもかわいいし。

本半ばぐらいにある写真のコーナーもなんか楽しいし、巻末のその近所の魚屋さんとの対談も面白い。なんか田舎で暮らしたくなる本。

新潮文庫 2006

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ファースト・マン

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先日夜に時間があったので、また映画を観に行ってきた。今月頭に公開されたばかりの「ファースト・マン」。その名の通り月面に初めて足跡を刻んだアポロ11号のアームストロング船長の話。ずいぶん昔に同じテーマを扱ったたしか「アポロ11」という映画があって、それの焼き直しみたいなのかなと思っていたが、いやいや全然違ってアームストロング船長と彼の家族、そして彼と同じく月を目指すパイロットとその家族たちの人間ドラマだった。

もちろん訓練のシーンや、ロケットのシーンなど、迫力に充ちてCGなのか実物なのか見分けのつかないぐらいの映像もすごくよかった(昔の映像を元に作り直してるのかな)けれど、それ以上にパイロットやその家族の間の描かれ方がとてもよかった。単に困難なミッションを苦難を乗り越えて成功させたぜ、イエイ!的な映画ではなく、改めて考えてみると、そもそも人間が生きていけないような宇宙や月面というところに行く、しかも今から50年前の技術でというのはものすごいチャレンジなことだし、生きて還って来れる保証など何もない。そんなことに挑戦する人々(計画する方はいいけど、現場はたまったものではない)がいて、それを見守る家族がいて。

アームストロング船長を初めアポロ計画のパイロットたちって、未だに人類史上もっとも人間の生息地域から遠いところまで行った人たちなのよね。たった3人とかでお互いを信頼して、苦難を共にして。想像を絶する事柄。そういうことを観ているわれわれに追体験させるというか、たんにかっこいい物語じゃなくて現実的な無茶な話として理解させようとこの映画はしてたのかも。

あと、こういう映画でありがちな派手な演出はほぼなく、ドキュメンタリータッチであったのもよかったし、音楽がよかった。60年代の素敵な音楽に溢れていた。そして何より印象的だったのはアームストロング船長たちが月面に着陸して、ハッチが開いた瞬間に無音になったこと。そう、月なんてほとんど大気がないから音がない。そのシーンを観て、ああ、たしかにそうだな、と。感動的な音楽を挿入するよりよっぽど現実味があってとてもよかった。

この映画もっと長くていいから細かなところ描いてもよかったかも。パイロットたちもだけど、彼を見守る妻や子供達の心情ももっと描いてほしかったかな。戦場じゃないにしてもそれよりも過酷なところへ夫を行かせるパートナーたちの気持ちはどんなだったか。そして帰ってきたときにどんなだったか。いろいろ考え感じさせる映画だった。よかった。

メリー・ポピンズ・リターンズ

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体調は悪かったけれど、夜になるとましになったのでちょっと用事を済ますついでに気になってた映画をみてきた。「メリー・ポピンズ・リターンズ」。実は最初のメリー・ポピンズ自体みてないので、大丈夫かなーとおもったけれど、全然大丈夫だった。さすがディズニー映画とおもえる安定感というか、誰が見ても楽しめる映画になってたと思う。

話は焼き直しじゃなくて、オリジナルの20年後の世界を描いたもの。オリジナルで子供だったジェーンとマイケルは大人になっていて、マイケルには子供もいる。マイケルには3人の子供もいて幸せに暮らしていたが、妻をなくし、挙句に大恐慌の煽りをうけて風向きがかわり、家族から笑顔が消えて行く。。。。

ストーリーよりも、やはり映画全体を包む音楽や歌、映像の面白さが際立ってたかな。もちろん特殊効果つかってるけど、これ見よがしにじゃなくて、逆に昔の映画風のドジ臭いアナログ感があってよかった。音楽もほんと素敵で、やっぱ生楽器で奏でられるものはいいな。うるさくないし(これは音量の話じゃない)。アニメとの混じり方も素敵だったし、アニメ自体もたぶんかなり意識して昔のディズニーアニメのトーンというか、いわゆる”感じ”がうまく出てたと思う。24コマで少しだけ荒い感じがしたけど、どうだったんだろう。

もちろんロンドンの街の再現には大掛かりなセットも使ってるけどCGも使ってると思う。けど、全体の色彩感に違和感なくて、ほぼ実写のように見えるのはなぜ何だろう。最近のCG多用の映画ってもう実写に見えない(あたりまえだけど、あんまり実写感がでないように逆にしてるような気がする)。この映画では、往年の実写でフィルム上映の、アナログ的というかあったかい感じがするのがとてもよかった。

こういうディズニー映画みたあと映画館でて現実に戻ったとき、なんかディズニーランドから出た時と同じような感じがする。映画やテーマパークという違うものであっても、同じ世界観で形作られているってことかな。か、音楽の音色が似てるからかな。なんか健康的でハッピーで、甘いお菓子のような感じの音色。

オリジナルのほうみてみたいな。

ボヘミアン・ラプソディ

bohemianrhapsody

公開からすごい話題になっていて気になっていた映画をやっと見てきた。クイーンはまあまあ世代だけど特に追いかけたり、聞いてきたわけじゃないけれど、MTVでPVなんかは流れていたし、知っている曲もあるし。また友人が「完全に猫映画」といってた謎の言葉も気になって。

とにかく観に行ってよかった。クイーンそのものの成功ストーリーももちろんだけど、フレティー・マーキュリーの数々のエピソードが面白かったし、彼の性的なことや、家族との軋轢、そして奥さんとの関係などいろいろ描かれていて見応えがあった。奥さんとの関係がやがて男女を超えて、苦楽を共にした人間愛の関係になるのがよかったな。そして何よりはメンバー役の役者さんたちのなりきりようが素晴らしかった。もうメンバーにしか見えないもん。もしクイーン知らない人がみたら、彼らが真のメンバーだとおもってしまうかも。素晴らしかったな。

そして全編を飾る音楽が本当に素敵だった。曲は知っててもどういう歌かは知らないものがほとんどだったけど、そこに含まれるメッセージに心打たれることが何度も。もっと聞いておけばよかったかなーとも。いいな、クイーン。改めていろいろ聞いてみたい。映画のラストを飾る伝説のイベント「ライブ・エイド」のシーンがほんとすごかった。完コピやもんなあ。実際に演奏もしてるだろうし。ほんと外国の音楽をテーマにした映画の役者さんのなりきりようというか音楽への取り組み様はすごい。

やっぱり言葉には敵わないのかな。自分が演奏してあそこまで強烈なメッセージを伝えらえるとは到底思えない。音楽の種類が違うといってしまえばそこまでだけれど、あのすごいパワー、メッセージ性には憧れる。そしてフレディーが繰り返し言う「自分はパフォーマーだ」という言葉も。クイーンになりたいわけじゃないけど、なんとか少しでも近づきたいものだ。同じくステージに立つ人間としては。

バジュランギおじさんと、小さな迷子

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街へ出ていて時間もあったので何か映画でも観たいなと思って探していて、時間もちょうどよかったし、なんかポスターが可愛かったので観に行った。公開から間もなかったので珍しく混んでいた(きっと空いているだろうと勝手に思っていた)けど、入る時も「インド映画なんだー」ということしか思わずだったけど、いや、これはほんと観てよかった映画だった。

第二次世界大戦後インドとパキスタンに別れて独立してしまった二国。もとは同じ国民であったが宗教の違いもあって対立がつづいている。そんなパキスタンの山岳の寒村の女の子がある事柄から口がきけなくなり、インド側にある寺院へお祈りに行くということになったことから話が始まる。無事お参りも終わるのだが、まだ幼い女の子はふとしたことから取り残されてしまうことになる。パスポートももたず知らない街に取り残された女の子、口も聞けず佇んでいるところに、バジュランギおじさんが現れ、面倒だと思いながらもやがて彼は彼女を家へ連れて帰ってやろうと思いはじめる。

そうたくさんのインド映画をみたわけではないので、なんの耐性もなかったのだけど、いわゆる歌とダンスのシーンが始まったとき、ありゃ全編これなのかなー、失敗したかなーとか思ったけれど、ダンスのシーンも歌も素晴らしく、丁寧に作られているし(なんとなく80年代のアナログでちゃんと作ってるPVみたいに感じた。いらん特殊効果もないし)ノリノリで見れる。知らない素敵な文化に触れた感じ。

子役のハルシャーリー・マルホートラがとても可愛く、セリフなしでの演技がほんとナチュラルでよかったのと、主人公演じるサルマーン・カーンがまさにスターというかかっこいい青年を見事に演じててすごいよかった。宗教的なこと、国同士のことなど何も知識なく観ても、それらがちゃんと明確にわかるように設定されているし、バカ真面目なぐらい一旦こうと決めた青年が女の子を連れて行こうとする姿に、懐疑的だった人や、邪魔をしていたひとたちもやがて巻き込まれ、二人は国境をこえてパキスタンへ、、、でも話せない女の子の家を探すことは困難極まる。それでも諦めない彼と、あくまで無邪気な女の子が本当に素敵。

150分を超える大作だけでちっともあきず、やたらと派手なシーンがあるわけでもなく、丁寧に主人公たちとその周りの状況を描くストーリーに中だるみもなく、ラストのシーンまですっきり観られた。ラストのシーン、よかったなあ。なんかアジアの感じがするなあ。インドだったら拍手喝采起こるんだろうなあw 観に行ってよかった。

映画館でてずいぶんしてから小銭入れを無くしてることに気づく。どっかで落としたのかと探し回るがない。映画館やほか行ったところに問い合わせてもないので諦め掛けていたが、夜遅くに映画館から「ありました」と電話。ああ、よかったー。