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2009-07

栗本薫 – 遠いうねり(グインサーガ127)

これで栗本さんのグインサーガは終わっちゃうのかな?だとするとものすごく悲しい。話の展開も少し新展開がみえてきて、いまだ物語には話の上でしかでてこなかった聖地ヤガが登場し、ミロク教のいまの姿が垣間見えてきたところだというのに。

また、ついに外伝一巻とのつながりがあるのであろう部分が登場、ここでつながるのか!と驚き、うなり。

少しずつ物語の輪が閉じようとしている矢先だったのに。

悲しい。

ハヤカワ文庫 2009

宮部みゆき – 長い長い殺人

いろんなものを擬人化して主人公にして描いた小説は数あれど、財布が主人公の小説ってのもなかなかないんじゃないかなぁ。10章(とエピローグ)からなる小説でそれぞれ主人公(事件に関係する人物がもつ財布)が入れ替わり、関連すると思われる4つの殺人事件に臨んでいく。その描き方も見事だけれど、事件のまとめかた、謎の明らかになっていく過程も見事。

決してややこしくなることもなく、すいすいと読めるのに、複雑に入り組んでいて、でも読みにくくなく、と、お話としても小説の構成としてもすばらしい。主人公が財布ということで、人間のように見聞きするわけもできず、持ち主の行動に伴って何かが明らかになったりしていくやりかたが面白い。また財布にも持ち主によって性格があったりして、これまたおもしろい。

いやー、見事。

光文社文庫 1999

乃南アサ – 窓

「鍵」という小説の続編にあたるそう。先にこっちから読んでしまった。でも登場人物や背景は同じでも違う題材なので、前後しても大丈夫。

聴覚障害のある人というのはいまは身近にはいないが、昔は少しつながりがあったのだけれど、彼らの気持ちや考えていることなんて意識したことなかったし、耳が不自由なことってのは単に耳がふさがった状態だ、という認識ぐらいしかなかったけど、聴こえないということでどれほど不自由な生活、コミュニケーションの難しさ、社会システムからの孤立、人々の無理解、なんかがあるのかということの考えを改めさせられた。自分が・・・と思い描いてみても想像しきれない。

そんな障害によって社会からはじかれた存在と、甘やかされ育ちうまく社会適合できない若者、彼らは立場はぜんぜんちがっているけれど、もしかすると同じ気持ちをもってしまうかもしれない。どう生きていくかによって違いは出るけれど、世間からは同じように扱われてしまうかもしれない。

いまの(といってもこの本が書かれたのはもうずいぶん前だけれど)社会の、とくに核家族化した社会のひずみ、ゆがみと、障害をもつものの世界を見事にリンクさせて、人とのつながりがどうあってほしいのか、ということを考えさせられる本だった。

講談社文庫 1999

石田衣良 – 40―翼ふたたび


活字たちが熱をもって心にダイレクトに飛んでくるよう。

いまアラフォーと呼ばれている世代にはぜひとも読んでもらいたい作品。買って配りたくなるほどすばらしい。めったにないことなのに電車で思わず泣いてしまった。ストーリーのよさ・うまさもあるけれど、主人公たちの気持ちがダイレクトに理性をつきぬけて伝わってくる。まさにアラフォーの、諦めとほんの少しの期待をないまぜにした気持ちが押し寄せてくる。物語が物語でなく、まるで自分のすぐとなりの物事のように感じられる。

きっと10代は10代なりに、20代は20代なりに・・・みんなその年代ごとに変化があって、悩んだり喜んだり、人生につまづいたり、いろんなことがあって嫌でも大人になっていったり、そっから逸脱したり、復帰したりといろいろあるはず。この本はいろいろあってついに40になった人たちが主人公。その「人生の半分がおわってしまった。しかもいいほうの・・・」と思っている(たぶんほとんどの人が同じように感じてるのでは?)人たちの物語。

もちろんどの人が読んでもおもしろい物語として読めると思うけれど、きっとアラフォー世代はそうではなくて、自分のことのように受け止めるんじゃないかと思う。それほど素直にこの世代の人の気持ち、やるせなさ、あきらめ、それらへの微力な抵抗、そんな姿をうつしだしている。いまだからこそわかる「この感じ」というもの、同じ世代の人と共有したい。

めちゃ石田さんの作品ぽいといえばそう。IWGPの40代版といってしまえばわかりやすいかも。でもIWGPほどかっこいい人たちは登場しないし、クールな連れもいない。人生に疲れた男女がいるだけ。のたうちまわって苦しんでもがいて見苦しいかもしれない。でもそれでもすごくいとおしい、美しいと感じてしまう。

あー、もっかい読もう。

講談社文庫 2009

宮部みゆき – ステップファザー・ステップ

ひょんなことで忍び込もうとした家のとなりの家の住人(双子の兄弟)につかまってしまい、しかもなぜか「お父さん」と呼ばれ、奇妙な関係がスタートする、職業泥棒と双子のおはなし。

ちょっとしたミステリーやマジックぽい話のネタやストーリー展開もいいけれど、このまったくの他人同士の間に時間とともに生じてくる一種家族のような気持ちや意識の通じ合いがどんどん濃くなっていく様子の描き方が見事というか。話自体はわりと軽いのでさっさかさーと読めるのだが、そんな擬似親子の気持ちの通じ合い、そして実際の社会とのギャップでの悩み、それによる不信、などなどまるで恋人の話のよう。おもしろい。

講談社文庫 1996

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